■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2007/04/26


最近、情報メディアが変わってきていることを実感している。その発端はやはりネットによるところが大きいと思うのだが、果たして今後どのように変遷していくのか楽しみでもあり、ちょっと怖い感じもある。特に変わってきたのがテレビだろう。よく話題になるのが、今始まったことでもないが、テレビの低俗化である。はっきり言えば“つまらない”ということなのだが、悪循環に拍車がかかっているようだ。ネットへの広告費のウェイトが増してテレビの広告費が激減し、低予算の番組制作を余儀なくされ、最も手っ取り早くて低コストである“お笑い芸人”起用の即席番組で時間を埋め、企画モノは時間とお金がかかるから、若手芸人を集めて司会から進行まですべて丸投げ番組ばかり。ドラマもお金がかからない若手や新人アイドルを使って話題づくりだけでなんとか乗り切ろうとしているようだ。ドキュメンタリーや海外取材など、時間のかかる番組がほとんどなくなってしまっている。特に、ローカル局のCMを見れば、その実態の深刻さがわかるはずだ。とにかくパチンコ屋の宣伝やばかりが目に付くのだ。テレビ自体がパチンコ屋に乗っ取られる時代がくるかもしれない。これではまともな教養番組など制作できるはずがない。某国営テレビ局も不払い運動でめっきり力がなくなっていて、明らかにテレビ全盛時代の終焉を迎えたようだ。一方のネットでは、新しいビジュアル・メディアである「YOU TUBE」のようなプライベート・メディアがどんどん勢力を増してきている。試しに興味のある音楽のアーティスト名のビデオ検索をしてみるとよいだろう。世界中からアップロードされたミュージック・ビデオやお宝映像がヒットして、デジタルデータとして自由にダウンロードできてしまう。著作権うんぬんと騒いでも、今さらそれを違法だと取り締まることすら困難な状況となっているのが現状だ。アーティストにとってこの現象がよいことなのかどうなのか判断は難しいが、できるだけ多くの人に作品を見てもらうメディアとしてはかつてこれほどワールドワイドなメディアはなかったわけで、一夜にして世界中から注目されるアーティストになれるチャンスが出てきたとも言える。問題はそれが無償であり、著作権もあってないに等しい状況となるわけで、複雑な心境かもしれない。ただ、ネットで知名度をあげて、ライブ活動で利益を稼ぐパターンがこれからのアーティスト活動の主流になる可能性もある。やはりファンはライブで生身のアーティストの演奏や話を聴きたくなるのだから、アートの原点に戻る方向なのかもしれない。その意味で、アーティストの活動自体も大きく変化していきそうだ。今までは、CDを多く売るための宣伝活動だったものが、ライブの宣伝のためにネット配信して、ファンを増やす活動に変わっていくのかもしれない。「YOU TUBE」の進化系として次に何が出てくるのかそれが楽しみなのだが…。(K

 

 

 


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