■よりみち~編集後記

 


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更新日2008/05/01


コンピュータの世界でOS(オペレーティング・システム)は基本となるシステムであり、どのOSを選ぶかで、アプリケーションソフトが決まってしまうわけで、Microsoft社がその覇者となっているのが現状だ。一般ユーザの選択は、MacOSかWindowsOSか少数派ではLinuxOSもあるだろうが、ビジネスで使うにはWindowsOSしか選択肢がないのが現実だろう。私も最初はMacOS(漢字TalkとかApple Talkとか呼ばれていた時代だった)だったが、やはり時代の流れに押されWindows95からWindowsOSを使いはじめ、Windows98、Me、そして2000とOSのバージョンアップともにマシンをグレードアップしてきている。MacOSでもそうだったが、OSのバージョンアップごとにOSメーカーの販売戦略やバグの災難に巻き込まれ、いつも大変な作業を強いられることになった。特に初期のMacOSのバージョンアップではソフトの不具合は日常茶飯事で、マシンがフリーズして仕事にならなかったり、周辺機器と接続できなかったりで、仕事を円滑にこなすには徹夜でOSを再インストールしたり、ネットワークにつなげる作業をしたりしたものだ。さすがに最近はOSも進化を遂げそのような不具合は少なくなったし、フリーズなどもほとんどなくなって、やっとコンピュータに使われる生活からコンピュータを使いこなす時代になったと実感しているのだが、ここにきて困った問題が身近に迫ってきた。Windows2000が2010年7月13日でサポートが切れるという問題である。

2000年2月17日のリリース以来、その安定性や使い勝手のよさで愛用しているWindows2000なのだが、Vistaの登場で2000の開発に終止符が打たれ、XPまたはVistaへの乗換えをある意味で強制的に実施しようとビル・ゲイツさんはもくろんでいるのだ。これも時代の流れなのだからしょうがないのだろうが、今までさんざんOSのバージョンアップで引きずりまわされ、もてあそばれてきた印象が強く、メーカーの販売戦略に強い不信感を抱いている者にとっては、そう簡単に新しいOSに乗り換える気持ちになれないものだ。第一に経済的にも負担を強いられるわけでとても歓迎できるものではない。実際に、XP発売の際にも、かなりの期間、OS自体の不具合や周辺機器とのドライバの問題があり、やっと最近少しまともになったばかりなのだ。Vistaに至っては現在進行形で問題が残っていて、未だにVistaに切り替えない企業も多いと聞いている。私も会社ではXPのノートを使い、自宅では2000を愛用しており、自宅のマシンスペックがさすがに古くなって、表示などの速度にストレスを感じるようになってはきているが、それほど不満なく使える状態で、Vistaに乗り換える手間(ソフトの入れ替えやデータの移動など)を考えたり、不具合のトラブルを考えると、今の安定した2000でしばらくは十分と考えていたのだ。

ところが、先日、iPod Classicの最新版を接続して愕然とした。iTuneのバージョンを7.4以上にしないと接続できないという表示が出たので、Apple社のサイトでiTuneの最新バージョンをダウンロードしたのだが、なんとXP以上でないとインストールできないという表示が出たのだ。あわてて、サポートページをくまなく探し、2000に対応させる方法はないものか探し回ったのだが、Windows2000に関しての情報は一切なく、完全に2000以下が切り捨てられたことが分かった。Appleよ、お前もか…、という心境だった。後期高齢者保険制度が問題になっているが、まさに75歳以上のお年寄りに、ある日突然、扶養家族と認めないと言われた気分だと思えた。2000の人は無視され、2000のマシンユーザがAppleから死を宣告された瞬間なのである。このような試練が繰り返され、頑固な2000愛好家も結局は、2000からXPやVistaへと乗り換えを余儀なくされていくのだろうなと思える。

メーカーの都合も分からないではないのだが、開発されて8年そこそこで使い捨てられるコンピュータの世界というのは、ついていくのも大変なものだなと実感する。ましてや、新しく開発されるOSが夢のようなOSかと言うとそうではなく、見栄えがよくなって、操作性が多少よくネットワーク系が充実していると思える程度のもので、通常の作業をするにはそれほどメリットを感じないように思えるのだ。それよりも、マシンスペックが最新のマシンでないとまともに動かなかったり、OS自体が重くなりメモリがやたらに必要だったりと、もっとユーザの負担を少なくして、より快適に簡単に乗換えができるように改良されるべきではないだろうか。Vistaの次はあと数年でバージョンアップされるのが分かっているわけで、どこまで行ってもメーカーの思惑に乗せられ、余計な乗り換え作業を強いられると思うと嫌気がさしてくる。そろそろMicrosoft社もオープンソースにして、OSを開放すべき時代なのではないだろうか。ゲイツさんも真の慈善事業家になってはどうか。鉄鋼王のカーネギーの言葉に「富を持って死ぬことは不名誉である」という言葉がある通り、ゲイツさんもそろそろカーネギーの心境に至る年頃だと思うのだが……。

 

 

 


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