■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日


更新日2004/05/06


日本にいて世界で現実に起こっていることを知ろうと思うとなかなか大変である。もちろん日本だけでなく、どこの国でも同じことが言えるのだが、他国の出来事は対岸の火事でしかなく、その火事が世界を変えるほどの大火事でもなかなか実感として気づかないことが多いのかもしれない。アメリカのメディアは世界中にネットワークを持っていて、24時間ニュースだけのケーブルTVのチャンネルがあったり、一日中世界各国のニュースが流れているから、さぞやイラク情勢なども的確に報道されているだろうと想像していたのだが、実際はほとんどイラク国民の意見などは報道されていないらしく、イラクでの実態は日本の方が正確な情報をつかんでいるようだ。アメリカではあくまでも米軍中心の報道のようで、イラクの国民を救うために米軍がテロリストと戦っていると思っている人が今でも多いと聞いた。確かに、戦争状態が続いているわけで、敵の言い分を聞いていては味方が不利になるばかりだから、軍隊を送り込んでいる以上、そうせざるを得ない事情もあることは分からないではないが、報道規制がすでにあり、中立的な判断はできるはずがない。そして最近気が付いたことだが、イスラエルの問題に関して、アメリカは明らかに報道規制をしているように思える。アメリカとしては、イスラエルの実情をあまり知って欲しくないのではないだろうか? 先日、NHKの特番でイスラエルの現状を多少知ることができたが、ひどくショックを受けた。ベツレヘムの壁はまるでかつての東西ドイツの壁のように高く冷たく聳え立っていた。東西ドイツの壁がやっと崩壊したと思ったら、現在進行形で国中を壁で覆い尽くそうとしているとんでもない国が存在しているわけだ。ナチスの時代にゲットーで隔離されて暮らしていたユダヤ民族の復讐を21世紀のいまアラブ民族に対して始めようとしているのだろうか? 現状のイスラエルを支持している国はアメリカ以外には考えられない。いわばアメリカのサテライト国家に近い存在である。アラブ諸国との対立の構図も、このイスラエルとの関係が象徴しているわけだ。これでは平和などあり得ないことは誰が見ても明白であり、壁を造れば地下に潜り、さらに攻撃が陰湿化して過激化するのはどんな楽観主義者でも否定できない。あの9.11の総括の答えがこの隔離壁政策だとしたら、アメリカが泥沼の道を突き進むドン・キホーテに見えてくる。そろそろサンチョ・パンザの日本としては、旦那さまに怒られてでも進むべき道を教えてあげた方が賢明ではないだろうか・・・(

隔離壁に反対するサイト

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