■よりみち~編集後記

 


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更新日2008/05/15


5月12日に発生した「四川大地震」のニュースが報じられるたびにその被害が拡大修正されている。世界でも例のない大惨事になったことは確かだ。四川省だけでも死者が1万5千人、負傷者6万5千人に達していて、1万5千人近くが行方不明、2万5千人以上の人が瓦礫の下に埋まっている状態というから、被害はまだまだ拡大修正されるだろう。一度の地震でこれほど死傷者をもたらすとは、自然の脅威のすさまじさに改めて驚かされる。日本の発表では神戸大震災の30倍以上の威力の直下型の大地震で、もし日本を直撃していたら、今回の被害どころではなく10倍以上の死傷者が出ただろうと推測している。神戸の大震災であれほどショックを受けたのだから、中国の人々のショックや不安は想像を絶する。ライフラインがすべて止まり、水も食料も救援物資も届いていないというし、ただでさえ人口の多い中国だから、二次災害として暴動なども心配になってくる。これで7月には北京オリンピック開催というのだから、なんとも大変なことになってしまったものだ。人道的には、まずは人命救助、そして被災者の支援が先決で、復興に向けた取り組みが最優先されるべきだ。被災者が嘆き悲しみ飢えている中で世界中からアスリートが集まるスポーツの祭典が楽しめるはずもないわけで、オリンピック組織委員会はスケジュールの大幅変更を考えた方がよいように思える。四川省にはいま注目されているチベット族が多く住んでいる地域で、被災者もチベット族が多いと聞く、ここでさらに中国政府の対応が遅れ、オリンピックを強行することになれば、さらにチベット族を迫害している印象が強くなるのではないだろうか。こうなると、中国の国際的な孤立が一段と進んでしまう可能性もあるわけで、オリンピックの予定を数ヶ月延期することも検討すべきではないだろうか。この四川大地震の迅速な対応とチベット族の自治の問題をクリアにしていけば、本当の意味で、中国の国際化を世界にアピールできるチャンスであり、オリンピックも四川復興と併せて大成功となるように思える。でも、頑固でプライドが高い中国政府のことだから、全くそんなことは意にも介さず予定通りにオリンピックを強行突破していくのだろうな。この大災害の中国政府の対応次第で、中国の本当の姿が見えてくるように思える。ちょっとだけ期待しながら見守るしかないのだろうか…。K

 

 

 


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