■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2005/05/19


ICタグやICチップを人間の身体に埋め込むことが話題になり始めたのは2002年あたりからだった。当時、イギリスやアメリカで性犯罪者の体内にICチップを埋め込み、その行動を追跡することを検討中だというニュースが注目された。衛星で犯罪者の行動を追跡したり、心拍数や血圧を測定して性衝動を予測して犯罪を未然に防ぐことを本気で考えていたらしいのだ。この流れは当然日本にも押し寄せつつある。最近問題にされている犯罪者、特に性犯罪者の住所の公開という動きは、このICチップの体内埋め込みシステムにエスカレートしていくのは時間の問題だろう。すでにICタグは動物の管理用に実用化されており、2004年10月には、アメリカの食品医薬品局(FDA)が人体埋め込み用ICタグの販売にゴーサインを出したことから、人体用ICチップ「ベリチップ」が発売をすでに開始しており、GPS機能も搭載可能とのこと。米粒ほどの大きさで、価格は200ドルほどらしい。簡単に注射器で皮下に注入できてしまうので、一般での実用化が数年で爆発的に進む可能性がありそうだ。これからすごい監視社会がやってくるのかもしれない。まるでSF映画のシーンを想像してしまう。パスポートや身分証明書など一切不要。ICチップにすべての情報が書き込まれていて、GPSを使ってどこに移動し、体温は何度で、脈拍まで記録され、銀行カードやクレジットカードなども携帯不要でICチップのリーダーで読み取るだけ。すべての行動と個人データが記録されるのだ。一見便利そうだが、私は監視されていると考えただけでゾッとする。誰かがどこかで自分をチェックしていると思っただけで気持ち悪い。たぶんそんな状態が続けば病気になるに違いない。犯罪者にICチップを体内に埋め込むことを義務付け、常に監視できれば、確かに犯罪は激減するだろうし、再犯率がとても高いと言われている性犯罪者を管理するためにはコスト的にも有効だと思える。だが、そこまで監視社会にしてしまうと歯止めがきかなくなりはしないだろうか? 当然のように動物にもすべてICチップが埋め込まれ、子供が生まれたら、割礼の儀式のようにICチップが体内に注入され、自動的にコンピュータ管理される社会になったとしたら、果たして人間として幸せになれるのだろうか? でも、よく考えると携帯電話だってICチップが埋め込めるわけで、すでに誰かに監視されているかもしれない……おお怖わ。(

 

 

 


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