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■よりみち~編集後記



更新日2025/06/26 




17世紀から「戦争にもルールが必要」という国家間の関係を律する法が整備されるようになり国際法が生まれ、国連憲章にも明記されているように、加盟国に対しての武力行使の禁止、紛争の平和的解決、人権の尊重を求め、国際司法裁判所(ICJ)や国際法委員会(ILC)が中心となって監視を続けているのだが、2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻から3年後の2025年3月17日、ロシアが占領地の子供たちを違法に自国に連れ去った行為は戦争犯罪に当たるとしてプーチン大統領ら2名に逮捕状を発行。もちろん、ウクライナ侵攻に対しても、国連は国際法違反でロシアを非難している。また、2023年10月のガザ紛争における戦争犯罪および人道に対する罪の疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に対して逮捕状を発行しており(2024年11月21日)、国際法違反による逮捕状がロシアとイスラエルの現役のトップに出ている前代未聞の状況なのである。国外を出た時点で即刻逮捕されるのだが、両者ともに全く無視というか、意にも介しておらず、勝手に言ってろという状態である。今に始まったことではないが、すでに国連の存在意義がとても危うい状況にあり、このままではトランプたち独裁者に利用される事態になるかもしれない。
さらに、6月13日、イランの核施設や核科学者、軍幹部らを標的としたイスラエル空軍によるイランへの奇襲攻撃が強行され、これもロシアのウクライナ侵攻と同様、国際法違反であることは明確であり、6月22日、まさかのトランプ大統領の命令により、アメリカ軍がB-2ステルス爆撃機を米国本土から派遣して、イランのフォルド、ナタンズ、イスファハンを含む三つの核施設に対して攻撃を実行(バンカーバスター14発を含む)したことも、当然のことながら国際法違反であることは間違いない。翌日になって、イスラエルとイランの停戦が実現できたと、まるでトランプの業績のように自画自賛してみせているが、一歩間違えばイラク侵攻のような汚点となる泥沼の戦争の引き金になった可能性もあるトンデモナイ暴挙だったことは間違いない。その意味で言えば、まだ今のところトランプは、運がとても良いヒトなのだ。

これだけ国際法違反の暴挙を国連の常任理事国であるロシア、アメリカが実行し、さらに核拡散防止条約(NPT)にさえ加盟していないイスラエルがイランの核開発放棄と政権転覆のために奇襲空爆を実行したことは、もはやパラノイア(偏執病)が軍隊を動かして戦争ゲームをしているような錯覚を覚える。かつてこんな時代はあっただろうか? NATOが死ぬほど嫌いで常に侵略される悪夢に悩んでいるプーチン、自分ではしっかり核爆弾を抱え込みながらも、周辺アラブ諸国が核兵器を持ってしまったらきっとイスラエルから自分たちは追い出されるというモスレム恐怖症のネタニエフ首相、アメリカの白人以外はみんな自分の奴隷になるべきだと真剣に思っているトランプ大統領、この三人がトップにいる限り、国際法など何の意味もなさないだろう。彼らにとっては自分の国、民族、兵士たち以外はすべて敵であり、法律など何の価値もないと思っているはずなのだ。

こんな時代になってきたからこそ、国連憲章が更に重要になるのだと思える。武力行使の禁止、紛争の平和的解決、人権の尊重、時代が変わろうとAIの時代になっても、まだ人間がサイボーグ化されていない以上、人の気持ちは不変であり、そして世界共通なのだ。誰もがプーチン、ネタニヤフ、トランプには人の気持ちも理解できず、思考回路が狂っていることを知っている。それだけでも大きな支えになるはずだ。いつまでも明けない夜はないのだから・・・(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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