■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2008/07/03


原油の高騰に歯止めがかかりそうもないようだ。石油の値段が上がることで、ここまで色々な諸物価に影響が出るとは思っていなかったが、それだけ現代社会が石油に依存しているということだろう。一番影響を受けているのは水産業かもしれない。イカ漁に続き今度はマグロ漁が操業中止になる可能性がでてきたようだ。魚の値段がただでさえ高くなっているところに、重油価格が上がり、漁に出ても採算が取れない状態なのだそうで、結局のところ、我々の食事は間接的に石油を食べていることになる。原油高騰の理由は、1)中国やインドなど、アジア経済の成長に伴った石油消費量の増加、2)中東での戦争で石油の供給量が低下、3)投機的な思惑(ヘッジファンドなど石油・先物市場のマネーゲーム)など、これら3つが主な理由と言われているのだが、アメリカのサブプライムローンの破綻により、撤退したファンドの現金を手っ取り早く稼ぐことができる石油市場へ資金投資したことが、さらに原油価格の高騰に拍車をかけてしまったわけだ。イラク戦争は石油の供給を確保するためのアメリカの戦略だったのだが、泥沼化して、治安がさらに悪化。イラクからの石油の供給が大幅に減少していることが価格高騰の引き金になっていることは間違いないようだ。それにしても石油によるマネーゲームは迷惑な話ではないか。石油も他の商品も一緒だという意味はわかるが、生活にこれだけ密着し、常に安定供給が望まれる石油が、戦争などの影響で供給が不足したとたんにヘッジファンドなどが大量に石油を買い占め、価格をさらに吊り上げている現実があるわけで、黙って金の亡者どもの儲け合戦を見ていろというのだろうか。彼らは市民の生活など全く考えたこともないわけで、利益を生むものにひたすら投機して、さらに利益の幅を大きくしてごっそりいただくということしか考えていない。一番恐ろしい構図が、アラブのオイルダラーのファンドが石油の価格を下げないために買い占めに動くことだ。自分で石油を掘って供給して、それを同じ身内が買い占めて高い値段でしか石油が買えなくすることが彼らの膨大なオイルマネー資本でなら可能なのだ。最近の石油産出国の中でもアラブ諸国の国家ファンドの投機の動きが実に気になる。石油時代が終わった後の世界をすでに展望して、石油なしで生き残る方法を、オイルマネーによる金融業と投資ファンドに焦点を絞り始めているようで、日本にもかなりの投資ファンドがすでに活動している。食糧危機も心配されている現在、生活に密着している食料や石油などの商品相場に世界的な法律でマネーゲームから守る政策が必要なのではないだろうか。(K

 

 

 

 


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