■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2005/07/21


またもやロンドンの地下鉄とバスで爆弾テロが発生したようだ(7/21_23:00)。9.11以来爆弾テロや自爆テロという言葉を目にしたり耳にしたりする頻度が急激に高まってきている。爆弾で無差別に人々を傷つける、しまいには自分の身体に爆弾を巻きつけて自爆して、より多くの人を道連れに自殺する、他方では突然巻き添えになるかもしれないという恐怖感や、誰もが犬死したくないという気持ちで、事件に無関心ではいられないという抜群の宣伝効果があり、見えない敵ほど恐怖は増大する。かつて日本の神風特攻隊が米軍から怖れられていたというが、行きだけのガソリンしか積まずに、死ぬために突っ込んでくる日本人という民族は、当時の連合軍にとって、理解を超えた宇宙人のような存在であり、今の北朝鮮の洗脳教育を受けた国民を見るように、不気味でかつ哀れな存在に思えたことだろう。ほんの60年前の日本には、「天皇陛下万歳!」と叫んで連合軍の軍艦に突っ込んで自爆した多くの青年が存在していたわけで、自爆テロはいわば日本のお家芸だったのである。そして困ったことに、神風特攻隊は日本人の風土として決して理解できない宇宙人の話ではないということがある。日本古来の武士道の発想からすれば、とんでもない飛躍した話でもなく、生き恥をさらすよりも自らの死を選ぶことになるわけで、当時の軍国主義教育や天皇至上主義の教育から考えて、当然の成り行きだったのだろうと思える。たぶんこんな民族は北朝鮮のほかには生まれないだろうと思っていたのだが、最近流行のイスラム過激派の自爆テロは神風特攻隊以上に過激で、脈絡もなく、組織化もされておらず、絶望と怒りと恐怖だけをばら撒き散らしており、まさにオンラインメディア時代の「KAMIKAZE」なのかもしれない。ただ、不思議なのは自爆テロは生身の人間が実行しているわけで、いくらムスリムによるジハード(「ある目標をめざした奮闘、努力」を意味し、「聖戦」と訳されることが多い)の実践をしろと言われても爆弾を抱えて自らスイッチは押せないはずである。イスラム教でもキリスト教でも、まともな宗教であれば、戦争を肯定している神は存在しないわけで、自爆テロ犯などはある種の洗脳教育が行われているはずだ。これだけ多くの自殺願望者がいるとは思えない。どこかでひそかに養成されていて、かつての○○真理教のように洗脳マニュアルなどがあるのではないだろうか。それにしても、最近の宗教的な対立や差別の溝は深まる一方のように思えてならない。21世紀にまでなって、映画の世界ではスター・ウォーズまで進行しているのに、現実の世界では紀元前から続く宗教対立が未だに一歩も前進していない。前進どころか、かえって後退している状態である。エジプトやグアテマラの古代ピラミッドを観たとき、人間は本当に進化し続けているのか疑念を抱いたのだが、実は進化など見せかけのもので、人間の本質的な魂(エートス)は進化などしていないのではないかという想いが首をもたげてきてしまう。自爆テロが日常化する前に、実行犯の怒りや絶望感について、もっと冷静に分析して、第3の道を模索するべきではないのだろうか。(

 

 

 

 


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