■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2008/07/17


原油価格の高騰、そしてそれに連動する穀物の高騰、温暖化による食料危機、飽食の時代から一気に物不足、農業問題や漁業の衰退へと、地球規模の環境問題がいつのまにか食料問題にシフトしているようだ。小麦やトウモロコシ不足が話題になっていたと思ったら、もっと身近な問題として日本の漁業の問題が急激にクローズアップされた。40以上もの漁業団体の全国一斉休業はその深刻な状況をアピールしている。まず日本の食卓から最初に姿を消すのは「まぐろ」なのかもしれない。魚が近年急激に減ってきているところへ重油の高騰というダブルパンチでは、廃業を考えるのも無理はない。
まだまだ大丈夫と、いままで当たり前に使ってきている石油エネルギーを真剣に太陽エネルギーへシフトさせる転換期が近づいていることを実感する。ドイツのソーラーパネルの普及の取り組みは正に時代を先取りにした政策で、さすがに大人の国だなと感動すらおぼえる。それに引き換え日本の現状を見渡しても、あきれるほどの無策無能ぶりで、技術は一流でも政治(というよりは官僚なのだが)が二流だと、何にも生まれてこないことが証明されてしまった。元々ソーラーパネルの技術も風力発電のシステムでも技術開発の分野では先端を走っていたはずの日本が、いつのまにかおいてけぼりをくらっている状態で、まるで“ウサギとカメ”の物語のようだ。G8サミットでは、無策無能の日本を世界中にアピールしただけだったのではないだろうか。
海洋大国だったはずの日本もこのままではジリ貧状態は明白で、やはり最後の砦は農業の活性化による国内での食料自給率の向上で、未来の農業システムの開発と推進しか明るい未来はないように思える。いくらお金があっても輸入先の国の中で食料が確保できていなければ購入することすらできないわけで、すでにその傾向が各国で出始めているわけで、環境問題がさらに悪化すれば、お金の価値よりも食料そのもの価値の方が強くなる可能性もありえる。すでに危機意識を持った先進的な企業は農業生産法人や株式会社による農業への参入に取り組み始めているようで、古い世襲制の農業システムからより未来的で儲かる農業システムへの転換を目指して動き出し、かなり実績も上がり始めているようで、期待が膨らんでくる。
石油から太陽エネルギーへの転換と、工業から農業技術開発へ転換する先進国として日本がリーダーシップを取れるかどうかが、今後の日本経済の明暗を分けるのではないかと思える。その前提条件となるのは、どうしても出てくる大問題の旧態依然とした日本の官僚システムの徹底的な解体だと思える。技術やアイディア、そして開発力がいくらあっても、古い制度や法律に守られた保守的で事なかれ主義の高級官僚たちの権力構造が完全にくずれない限り、時代を動かすような大転換は起こり得ないだろう。いわば「平成維新」的な政治改革が日本には不可欠なのではないかと、最近、本気で思っている。自分一人だけこんなに盛り上がっても、今の野党では……。洞爺湖サミットでの日本の無策無能ぶりをこれでもかと見せつけられて、かなりイライラしていることは確かである。(

 

 

 

 


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