■よりみち~編集後記

■更新予定日:毎週木曜日

更新日2002/07/18

先日、夏祭りへ出かけた。張り切って浴衣を着て出かけ、参道の入り口近くの商店街をぶらぶら歩いていたら、おばちゃんに「ちょっとそこのお嬢さん、着物なおしてあげるからいらっしゃい」と声をかけられた。おばちゃんは着付けの先生らしく、どうにもインチキくさい私の浴衣姿に我慢できずに声をかけたらしい。おばちゃんちの玄関先で世間話をしながら着付けてもらったが、やはりプロの着付けはひと味違う。動いても着崩れひとつせずがんがん歩き倒せる。浴衣のひとつもうまく着こなせない自分が恥ずかしいというかなんというか。それにしても 親切なおばちゃん、ありがとう。 (志岐


気温30度を超える晴天が続くかと思えば、みるみるうちに台風襲来、そして台風一過の気温上昇と、落ち着かない天気が続いている。そしてまた雨模様に逆戻り。環境変化が激しすぎて体がついていかない、困ったものだ。全く降らなかったらもちろん困るのだけど、降ったら降ったでいろいろと困る雨。降りすぎたら災害になる、傘を差すのが面倒、傘をさしても靴の中に水がしみこんでくる、部屋にいるのだから雨に打たれるわけでもないのに、なんだかアンニュイな気分になるetc.。 しとしとと降る雨を室内から眺めると落ち着けるから好きだという人もいるけれどね。どっちかというと寂しいイメージだと言えるだろう。物理的な被害を被らなくても、ヒトのキモチは意外と天候に影響されている。もしかしたら、雨が降ったら狩りができなくなるような遠い昔の本能的な嫌悪感もあるのかもしれない(いや、ないだろうそれは、と自分で突っ込んでおく)。3次産業の就業者が1次・2次産業のそれを上回って久しいが、狩も収穫もない日常に慣れてしまった都市生活者にとって、「恵みの雨」という言葉はどうも現実感が失せてきたと感じる。原点に立ち返れば、大自然への畏怖と尊敬を表す、非常に簡潔で的確な表現だったはずだが(ホントか?)、今ではまるで使い古されたコピーのようで、安易に聞こえるようになってしまった。科学や技術がハイスピードで進化し、さまざまなプロダクトが量産される中で、昔からあったものがとてつもないスピードで安っぽくなっていく。それを目の当たりにするにつけ、静かに驚嘆を覚えるのだ。特にパソコン、早すぎます、私泣きそうです。20万もするのに1年で廃れる、事実上の消耗品扱いなんて許されていいのか? どうなんだメーカー各社よ! 毎年買い換えられるような元手があればこんな文句も言わないんだけどさ…。すいません、貧乏人のボヤキですごめんなさい。 (北村


子供の頃から歯医者が嫌いだった。あのキリキリと歯を削る音が嫌なのだ(好きなヤツは変態だ)。昔からまともに通った記憶がない。虫歯が痛くてどうしょうもなくて、歯医者に駆け込むが、治療がある程度進むと、自分の判断で勝手に終わりにしてしまうのだ。ところが、ここ数年休まずに会社の近くの某歯科に通っている。自分でも信じられないが、もう2年を突破してさらに記録を更新中だ。ある日刺し歯が取れてこの歯科に行ったところ、私の性格が完全に見抜かれ、このままの状態で放っておいて老後を寂しく過ごすか、いま決断して悪い歯を徹底的に直すか、決断するしかないでしょうと言われ、その場で究極の選択を迫られた。結局、それから毎週1回通うことになったのだが…。平日の夕方に30分から1時間弱、歯科専用のリクライニングシートに身を任せる。室内には常にクラシックや室内楽が静かに流れ、バタバタ仕事をしていたのがウソのように、つかの間のタイムトリップ状態。もちろん歯の治療だから楽しいことばかりではないが、先生を待つ間のリラクゼーションの時間がとても心地よいのだ。先生はかなりの音楽通でスピーカーも凝っているし選曲もなかなか。ここでウォン・ウィンツァイのピアノ曲のファンになったし、村治佳織のギターを本気で聞いたのもここでだ。もちろん私の好きなバロックも定番でかけてくれるので、まるで音楽が楽しみで通っているような錯覚に陥る。ところが、最近さすがにもう治療が必要な歯がなくなってきたのだ。先生に「もういいですよ!」と言われそうなので、そろそろ心の準備をしなければならない。今度はこちらから定期的な歯石チェックをお願いしてみようかな…。(越谷