■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2008/07/24


近頃の若いモンは…と言い出すと、歳をくったオジンの証拠となるのだろうが、今の若者たちが一体どうなるものか心配を通り越して恐怖すら覚える。昔のオヤジがなげいていた次元の話とちょっと違ってきているのだ。Podcastでラジオ番組を聞くことが多くなっているのだが、「田原総一郎の『タブーに挑戦!』」という番組で、田原氏が最近参加した有名大学の8人の総長とのシンポジウムの話をしていた。その中で、どこの大学でも悩んでいることが、“大学が幼稚園化している”ことだと言うのだ。最近の学生は、合格して数ヶ月で壊れてしまう学生がかなり多いらしい。要は親に黙って大学に来なくなる学生が増えていて、親から消息が分からないから探して欲しいと連絡がきたり、大学にも行かず家にも戻らずネットカフェ難民になったりする学生もいるというのだ。そのような落ちこぼれの学生を増やさないために、教授が講義とは別に、学生を20名くらいのグループに分けて、友達の作り方のワークショップをしたり、どこの大学でも「悩みの相談室」を設置しても、悩みがどういうことかが分からない学生が多く、誰も来ないので、悩みということがどういうことかを教えなければならない状況になっていると言うのだ。少子化がこの状況に拍車をかけており、学生の脱落を予防するために、京大の教授までが家庭訪問をしていると言うから、完全に我々が学んでいた時代の大学とはイメージが変わってしまっているようなのだ。一番ショッキングな話は、6割の学生が今まで一度も誰からも叱られたことがないと言うのだから驚きである。まさかと思ったが、だから悩むということが理解できないのかもしれない。人の痛みが分からない。他人とのコミュニケーションの仕方が分からない。親との接し方が分からない。そんな幼児化した若者が増えているわけだ。大学が困っているのも無理はない。
家庭の教育が、放任主義という甘く耳障りの良い言葉によって放棄することが正当化され、学校教育は事なかれ主義と点数至上主義によって骨抜きにされ、要領がよく聞き分けのよい子供ばかりが優等生となっていく。いじめはより陰湿化し、子供でありながら頭の中はオヤジ化して、夢や未来に希望をもたない歪んだ若者が量産されてきたのではないだろうか。大学の幼稚園化は、家庭も学校も国の教育システムもすべて疲弊し、疲れきった状態を映し出しているように思える。子供たちは早く大人になりたがっていないわけだ。いつまでも子供のままでいたいから幼児園化が進むのだろう。それに拍車をかけているのが、いま流行りの“モンスターペアレント”なのだ。親までもが子供が大人になることを遅くしようとしているわけだ。最近は一人の子供に6人のモンスターが連帯を組んでいるケースも珍しくないらしい。その子供の両親、その両親のさらに両親、いわゆる孫のジジババたちまでもが学校に押しかけてきたりクレーム電話をかけてくるというのだから、先生もたまったものではない。これからの教育改革は、これらのモンスターたちと戦わなければならないのだから大変そうだ。まず手始めに必要なことは、飾りでしかない地方の教育委員会の解体と地域教育の再生だと思うのだが、地域の力がこれほどまでに弱体化してしまっている現在、どこから手をつけてよいものやら…。規制を受けにくいユニークな私学が地方にでてくることを期待するしかないのだろうか…。(K

 

 

 

 


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