■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

更新日2003/08/28


鼻血が出るほど面白い本に出会ったのは、随分と久方ぶりのことだ。本のタイトルは、『The Dogs of Babel』。言語学の教授ポールが林檎の木の下で亡くなっていた妻の死の真相に迫っていくというこれだけなら、普通の推理小説なのだが、変わっているのは、唯一の目撃者・愛犬ローレライに真実を語らせようと試みていくアイディア。もちろん亡くなった妻への思いは胸を打つものがあるのだが、ローレライに人間と同じ発音をさせようとしたり、あげくは犬を改造手術し言葉を喋らせようとする集団まで登場、そしてかけがえのないローレライの身にも危険が迫る…。おっと、ここからは読んでからのお楽しみで、それにしても犬が喋ったらどんなことになるのだろう? 犬の言葉翻訳機なんてのも開発されているし、猫バージョンも出るようだ。愛猫家としては、いつもゴロゴロしている我が家の愚猫が何を考えてるのかしらん? なんて思ってはいるけど、「おいで、おいで~」と猫撫で声で近付いたら、「また来やがったッ! うっぜぇニャー」なんて猫に毒突かれることもあるかもあるかもしれない。嗚呼、恐ろしや、恐ろしや。犬はワン、猫はニャーに限る!(瀬尾


またまたウィルスが猛威を振るっている。役所などで被害が大きかった「Blaster(ブラスター)」は、メールによる感染ではなく、ネット接続だけで感染してしまう新タイプで、今後、このタイプが増えると大変そうだ。また、中国ですでに2000万件の感染(中国でのメール利用者の30%)が報告されている「Sobig.F(ソービッグエフ)」の感染スピードは驚異的で、日本での被害の拡大も心配されている。実際、私に届くジャンクメールの大半がこの「Sobig.F」で、確実に増えてきている。ウィルス騒ぎは最近始まったことではないので、もう驚きもしなくなったが、それにしてもその数の多さとスピードの速さは困ったものだ。ウィルスなんて呼ばれているいるから、我々も天変地異のごとく、しょうがないものとしてあきらめている感があるが、デジタル・ウィルスはすべて人災であって、犯罪行為の産物なのだ。それもほとんどが愉快犯と呼ばれる自己満足的なものだ。不特定多数のパソコンにウィルスを感染させて困らせることを目的としている訳で、陰湿で、偏執狂的な人物が関わっているのだろう。ウィルスを開発するには、コンピュータやネットワークについてかなりの知識が必要で、その知識や経験を生かしたら素晴らしい技術が開発できるはずだ。現に、暗号ソフトなどは元ハッカーが開発を担当しているらしい。自分の実力を試すのにハッカーまがいの行為をやってみたくなる心境はある程度理解できないではない。しかし、それを繰り返す常習者は完全に病気である。犯罪がエスカレートする前に芽を摘んでいく方法を考えないと、ネットの将来はとても暗い。米国でも、FBIがついに悪質な「Sobig.F」のウイルス作成者の割り出しに着手したそうだ。先日のニュース(Internet Watch/2003年08月22日号)で、「迷惑メールが地球上の全メールの50%を超えた」という報告があるように、ウィルスメール(ワーム)、ジャンクメールなどで、仕事にまでも支障がではじめているわけで、メールが日常に不可欠なメディアになってしまった現在、そろそろ無秩序に垂れ流される大量のメールなどを監視するシステムがでてきてもよいように思えるのだが…。これも言論の自由に反することになるのだろうか? (