■よりみち~編集後記

 

■更新予定日:毎週木曜日

更新日2002/08/29

只今夏バテまっさかり。毎年暑さのピークを過ぎると、どっとくるのだが、「あ、わたしヤバイかも」と思うのは、例えば料理の手順を失敗したときに「あ、コマンド・ゼット押さなきゃ」と思うことだ(※PCでは一つ前の入力に戻すとき、コマンドキーとゼットキーを押す)。最近がっかりしたのは、鉢植えの植物を見ると、「あ、グリーンハーブだ。とっとかなくちゃ」と思うこと。これは「バイオハザード」というゲームで体力を復活させるアイテムの一つなんだが、自分では怖いからプレイしないのに(夫がプレイするのをそばでドキドキしながら見るだけ)こういう風に考えるとはそうとうキてるんじゃないかしらん。あ、ただの遊びすぎか。 (志岐


当編集部の I 氏は、初めて一緒に飲む相手に、よくこんな質問をする。「もし死ぬ前に一品だけ食べる(あるいは飲む)としたら何を食べるか?」 この最期の晩餐は、なかなかの難問のようで、即答する人はあまりいない。かく言う私も食いしん坊なうえに優柔不断なので、延々考えたあげく、なぜか「アンキモ!」などと呑ん兵衛爺やのような答えを出した記憶がある。あれから早6年余りが経ち、嗜好も変わってきた。今なら迷わず即答――、「お茶」である。暑くても寒くても疲れていてもだらけていても寝る前にあつーいお茶を1杯、これでホ~ッとする。最近は飲むだけでなく、茶香炉や茶風呂などでもお茶を楽しんでい る。ホーッとゆったりした気持ちでむかえる、そんな最期だったらいいな…なんて考えるにはまだまだ早すぎ。 (瀬尾


はじめて、日本を脱出したのはバリ島だった。ガイドブックや雑誌で見ていたけれど、その未開さにはあまりにも驚いた。何でこんなところに来てしまったのだろうとも思ったりもした。クタはビーチの周りにホテルもできていてかなり開けていたが、ウブドゥはすごかった。泊まったのは民家の離れ。蚊取り線香は欠かせない。色々なモノが蠢いている。這うイキモノもいる。風呂は川、洗濯も川。もちろん電気もない。みんなそうやって暮らしていた。覚悟はしていたのでリピーターになるのを避けていたところもあるが、15年ぶりに縁あってバリへ行った……跡形もない。 ところが買い物に出かけたときに、懐かしい光景に出会った。軒下に座っている老人、老人だけではないが男が多い。数時間して同じ道を帰ると、やはりまだ座り続けている。どれだけ近代化しようが、人間の精神性というモノは20年やそこらで変わらないのかとほっとする。「のらり」とあえて日本語で呼んでいるが、はやりの「スローライフ」ではなく、アジア/アフリカ的「のらり」が流行語になればいいのに。(佐藤