■よりみち~編集後記

 

■更新予定日:毎週木曜日

更新日2002/09/05

世の中、お盆を過ぎたら「残暑」とするのが日本の風習だったはず。それにしちゃぁ昨今のこの残暑の長引きようはなんなのかしら。毎日暑くて目が覚めます。これが日本の「残暑」だといわれても腹が立つばかり。なんせこの夏はいつもの夏よりも汗をかいて、それこそ滝のように流れる汗に、「これは気候の変化のせいよ…。歳食ったからじゃないわ」と自分に言い聞かせなければならないのが悲しかった。挙句の果てに汗疹までできてしまって、ひりひりと痛むのがまた悲しさを増幅させ、今年の夏には特に恨みがあるのだ。そろそろ夏の定義を改めたほうがよくないか、日本よ。現実を見つめよう。今まで秋とされてきた9月には夏の仲間入りをしてもらって、そういえば今年は5月も暑かったね、ということで5月も夏であると再定義してみましょう。とすると、日本の夏は5月から9月。…うげぇ、酷暑が5ヶ月も続いてるのか、今の日本は。日本がどんどん日本らしくなくなっていくー。この夏よく見られた夕立は、実はスコールなんだなんていう話もあって、東京のホテルの中庭ではバナナが元気に育っている。まったく、私の好きだった「風流な日本の夏」はどこに行っちゃったんだろう。なんてコトを言えるようになったことに年齢を感じたりもする。こんなことを思わせる夏、やっぱり恨みますー。(北村


私は様式に関係なく古い建物が好きだ。本当は古い建物に住みたいのだけれど、現実はそうもいかず眺めるだけ。最近は「廃墟探訪」なる趣味?が流行っているらしいが、そこまでいくと怖くなって尻込みしてしまう。たぶん「住民もしくは管理人の気配」がまだ残っている建物に興味は向いてしまうみたいだ。カメラと三脚を持って代官山の同潤会アパート(現在は「代官山アドレス」という高級複合施設)の敷地の中にいたら住人のおばちゃんに怒られ、ひとっ風呂浴びるついでに近所の立派な唐破風(からはふ)屋根の銭湯に行ってこれまた建物の写真を撮ったりしていた。最近見つけたナイス古建物は、蔵を改造してギャラリーとバーをやっている店。白黒テレビ(現役!)が置いてあったり、作品の数々をカラープリントして壁に貼ってあったりして、快適なことこの上なし。こういう店で昼間からお酒を飲んだり、猫にちょっかいを出して嫌われたり、友達や家族とくだらないことで笑ったりして過ごしたいものだ。(志岐


肉より魚というくちで、肉の味のよしあしを言えるとは思わないのだが、それでもえらく旨いと感じた牛肉を食べた。知人がくれた短角牛(たしか山形産)という牛の肉。脂身がまったくなくて、ひとくち食べたときは硬くて旨みがないなあと感じたのだが、噛むうちに素朴な旨みが口の中に広がった。なんと言ったらいいのだろう。ほのかなというか、控えめなというか、とにかく一気に旨さが溶け出す肉とは対極の味。勝手な想像だが、良き生育環境、誠実な生産者のもとで、ストレスもなく、きっと健康的に育ったのだろう。でないと、こんな味にはならないはず。霜降党は物足りないと言うかもしれないが、一度、機会があれば短角牛の素朴で健康的な味をお試しあれ。ソースは醤油をチョイと、をお勧めします。(