■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2009/09/10


これほど日本で行われた選挙の結果に興奮したことがこれまでにあっただろうか? 第45回衆議院議員総選挙で民主党308議席に対し自由民主党119議席、一時は320議席まで伸ばすのではないかと予測するTV局まで現れ、まさに政権交代選挙となった。自民党は、1955年以来続いてきた衆議院第一党の座から転落したわけで、これは日本の戦後史において、歴史的な転換を目撃したことになり、とても気分がよい。54年もの間自民党が第一党を守り通していたこと自体が異状であり、先進国の中でもあり得ない現象で、保守王国にもやっと新しい風が入った。細川政権のように一瞬だけ希望が見えた現象があったが、つかの間の夢で終ってしまったが、今回の民主党の躍進こそが本物の政権交代と言えるわけで、私としては生まれて初めて経験する政権交代である。ただ、これだけの逆転劇にもかかわらず、国民が全然騒いでいないというのも異様ではないだろうか。通常の政権交代であれば、オバマ大統領の勝利のように、国中が歓喜の渦となって、政権交代に狂喜してよいはずなのだが、誰もが実にクールに、ごく当然の結果として受け止めているわけで、多くの人々がアンチ自民党として、民主党を選択せざるを得なかったという現実がある。いわば、自民党よいいかげんにしろという気持ちで民主党に票を入れた人がほとんどで、政策がよいからということではなく、このまま自民党の古い体質のままでは何も動かないし、何も変わらないということに嫌気がさしたまでにすぎない。構造改革や天下りシステムの解体を何十年もの間公約に入れていたにも関わらず、抜本的な改革は皆無に等しく、すべて官僚の言いなりになってしまっていた自民党の体質への限界を国民が悟ったからなのだ。
民主党への期待がないわけではないが、50年以上もの間癒着してきた政界と官僚機構がそう簡単に壊れるとは思えない。少なくとも日本の官僚主義の現実をさらけ出し、それが時代錯誤であり、思い上がった官僚至上主義的な国家感を変えることを官僚たち自らに促し、自分たちの手で官僚機構を解体再生させる機会づくりができれば大成功だと思える。これができなければ、このまま国会議事堂のように明治時代のまま取り残され、化石化してしまい日本の政治の未来はないように思える。民主党にお願いしたのは、とにかく官僚主義の改革だけは、中途半端な状態で投げ出さないで欲しいということだ。徹底的に変えない限り、トカゲの尻尾のようにまたすぐに新しい尻尾が再生されてしまうわけで、尻尾だけでなく頭から切り落として、新たな生命体を創る気持ちでがんばってもらいたいものである。50年間分の大掃除なのだから、時間はかかるだろうが、着実にそして隅々まで目を配って、日本の21世紀の政治のために官僚制度を再構築してもらいたい。政治がちょっとだけ面白くなってきたわけで、くだらないスキャンダルや誹謗中傷などに惑わされることなく、本物の政治家が日本にもまだいることを内外にぜひとも示してもらいたいものである。 (

 

 


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