■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2005/11/17


北野武監督作品の『TAKESHI'S』 を観てきた、最近、あまり感動する映画に出会わない感じがする。映画よりも現実の方がインパクトのあるショッキングな事件が多いからなのかもしれないが、映画本来の持つ虚構性が現実の悲惨さに負けているからなのかもしれない。その証拠に、数年前までヒーロー物の定番だった戦争映画がぱったりと影をひそめ、ファミリー物やSFファンタジー物が増えている。その中で異彩を放つのが北野監督作品である。ただ今回の作品は超がつく難解(?)というのか、コンセプチュアルな構成なので、あまり楽しめる作品とは言いがたい。有名になった世界の北野が道楽でつくった映画であり、有名になるということはなんでもOKということがよく理解できる作品でもある。監督自身が、「あれこれ考えずに体感してほしい。つべこべ言わずにまず観てほしい」と言っているように、いくらこの映画のことを説明しても無駄な感じがする。その意味では確かに新しい映画であり、映画に対して挑戦的であり続ける北野監督の姿勢に拍手を送りたい。でも映画はしょせん映画であり、感動させたり考えさせたり、楽しませてくれるメディアだから、観客を眠たくさせてるものはやはり失敗作と言わざるを得ないだろう。以前から暖めてきたこの企画だったが、どこも話を聞いてくれず、結局、自分でつくってしまった映画である。果たして次回作品はどんな映画になるのか楽しみになってきた。今回の作品が今までの映画の映画手法のダイジェスト的なシーンが多かったので、次回作品からは手法やテーマを変えてくるのではないかと期待しているのだが、世界の北野は一体どこへ行こうとしているのだろうか…。(K

 

 

 

 

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■猫ギャラリー ITO JUNKO
11/19/2005更新