■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

更新日2003/11/27


巷では若者の床屋離れが進んでいるようだ。この現象はカリスマ美容師が出現してから始まったという。美容室やヘアーサロンの乱立時代を迎え、男は理容、女は美容という常識が壊れ、美容室で男性がカットしてもらっている姿に違和感を覚えなくなった。少なくとも若い男性で美容室でカットしてもらうことにためらいはないはずだ。理容室は中年以上のオジサンたちの専用になってしまうのかもしれない。理容師の高齢化も進み、半数以上が後継者難で困っているというし、さらに追い討ちをかけるように、価格破壊の波が押し寄せてきた。通常の半額以下でスピード仕上げをする専門店が登場し、80%以上の理容室が売上減少に悩んでいるようだ。確かに日本の理容師さんのハサミやカミソリの技術は優れている。私は10ヵ国以上の床屋を体験しているが、日本の床屋さんの技術およびサービス(タオルの使用枚数、耳カキや鼻毛切り、おまけにマッサージまでやってくれる国はない)は間違いなく世界一だろう。しかしながら、その料金も世界一かもしれない。たぶん、いろいろなサービス合戦があって、今のサービスに落ち着いたのだろうが、問題はそれが画一化してしまったことだと思う。若い客はより新しいスタイルを求めるのが当然で、ヘアースタイルに敏感な美容室に流れるのは自然の流れだ。私も今では、邪魔にならなければ問題なしというあきらめの心境に達したが、特に中学や高校の頃は自分の持っているイメージとヘアスタイルが一致したためしがないので、床屋に行くのがとても嫌いだった(幸い長髪が流行していたから、ほとんど自分でカットしていた)。特に屈辱的だったのはベビーパウダー(シッカロール)のような白い粉を最後に襟元や顔などにパタパタと振りかけられるときだった。さすがにこの習慣は今はまったく見なくなったが、呪いたくなったことを覚えている。でも、床屋で椅子の背を倒して理容師さんに髭をあたってもらいながら白昼夢が見られなくなるのは寂しいと思う。あのウトウトとした至福の時間はなくなってほしくないものだ‥‥(K