■よりみち~編集後記

 


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更新日2003/12/11


映画『阿修羅のごとく』(森田芳光監督作品、2003年11月封切り)を観た。昔、TV番組でやっていた同タイトルの作品をちらっとみたことがあったが、連続ドラマだったから、何回か断片的に観てもそれほど面白さが分からなかったから、今度は映画で、それも森田監督が撮るとどんな作品になるのか観てみたかった。感想としては、とてもオーソドクスに仕上げていて、古きよき時代の日本のなつかしい家族の姿を淡々と描いていて、こころ温まる映画だった。テーマ的にはとても難しい題材の「人間の業(ごう)」を描いているのだが、まったく暗さがなく、人間の灰色の部分を暖かい目を持って投げ出さずにうまく付き合っていくしかないことを改めて気づかせてくれる。はっきり言って女性のための映画である。男はいつまでも子供で、不甲斐ない生き物で、女はそんな男を支えながら、小さな幸せを探して、したたかにそして阿修羅のごとく生きるわけだ。この原作は、1929年に東京に生まれた劇作家、向田邦子の作品だ。TV連続ドラマの「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「あ・うん」のヒット作は知っていたが、そのはるか前の「七人の孫」も彼女の作品だったことは知らなかった。森繁のじいさん役がなつかしい。向田邦子は家族がずっとテーマだったようだ。1980年にいきなり連載小説を書いて、それが直木賞を受賞し、翌年の81年に台湾旅行中、航空機事故で死亡するという、売れっ子独身作家の51歳の死は当時かなりショッキングな出来事だった。後で調べると、この「阿修羅のごとく」は彼女自身の秘めた恋、妻子をもつ男性との不思議な生活や父親の浮気でばらばらになった母親や家族との関係など、かなり自叙伝な作品のようで、不思議な説得力がある理由が分かった感じがした。今日のニュースにどこの国も同じなんだなという記事が掲載されていた。ドイツの大衆雑誌「シュテルン」に掲載された調査で、ドイツ人の既婚者のほぼ半数が浮気をしている、または過去に浮気をした経験があることが分かったというのだ。浮気を認めた人のうち、女性の61%、男性の47%が、浮気の原因は配偶者の自分に対する愛や興味の欠如だったという。日本でもそんなに浮気が多いのだろうか? 知らないのは私だけかもしれないな…(K