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■よりみち~編集後記

 

更新日2018/06/07



安倍晋三首相は、戦後の首相の在職日数ランキングで、長期政権で有名な小泉純一郎や中曽根康弘を軽々と抜き、佐藤栄作元首相(2798日)、吉田茂元首相(2616日)に次ぎ戦後3位となっており、今年9月に自民党の党首3選を果たせば、戦後1位となり最長政権になることは確実とされている。これだけ問題を巻き起こし、何度ももうこの政権は終わりだと言われて続けながら、結局、自ら辞任することなく在位期間を延ばし続けている。現在、国家的な大問題になっているモリカケ疑惑は、1年半前の2017年2月17日で、安倍首相は夫人が名誉校長を務める学校法人「森友学園」が近隣地の10分の1の価格で国有地を払い下げられていたとされる問題への関与を国会で問われ、「私や妻は一切関わっていない。もし関わっていたら間違いなく、首相も国会議員も辞任するということを、はっきり申し上げる」と答弁したことから始まっている。

この国会答弁を聞いた多くの人が、ここまで自信を持って総理大臣が断言する以上、関与はないのだろうと思ったはずだが、この断言が、いま世間を騒がせている日大アメフト部事件のようなことになってしまったのだ。財務省の官僚としては、絶対的な存在である総理大臣が断言したことが、公文書に記録されている内容で破綻することに気づき、アメフト部の選手のように明らかに反則と知っていながら、QBを潰さないといけない(文書改ざんし隠蔽する)という使命感が生まれやってしまったのだ。官邸がこの事実を知らないはずはないし、実際は間接的に指示していたのだろうが、財務省のトップである麻生財務大臣は、官僚が勝手に忖度してやったことで、組織的ではないし、悪質な改ざんではなかったと弁解する始末で、なぜ改ざんや隠ぺいが起こったのかも原因は不明のままで、その場の空気みたいなものだと発表…こんな調査報告を初めて聞いたが、全く原因究明などする気がないのだ。大阪地検特捜部の調査も全員不起訴が最初から決まっていたようで、財務省の公文書改ざん・隠蔽事件は、佐川前理財局長が停職3ヶ月相当の処分として退職金から約500万円減額され、麻生財務大臣の閣僚給与1年分(170万円)自主返納で幕引きするつもりのようだ。そして、さらなる信頼回復と再発防止に努めるため大臣を続投すると言い切っている。日大アメフト部の事件と構図的にとても似ていると思えませんか? 選手には指示していない、意思の疎通に齟齬があったとか弁解して病院に逃げ込んだ元監督兼常務理事や、コメントすら出さない日大理事長は加計学園の理事長とダブります。元コーチは元監督が怖くてまともな回答すらできず、これは佐川元理財局長ですね。ただ、日大アメフト部事件とモリカケ問題と決定的に違うことがありました。日大アメフト部の部員には、自分のやった反則行為を恥じて、チームの監督とコーチから指示を事前に受けていたことを告発し、怪我をさせた選手に顔出しまでして謝罪していることだ。霞が関にはこのアメフト選手のような勇気のある若手の役人がいないことがとても残念だ。

世間ではモリカケ問題をいつまでやっているんだ、野党が足を引っ張っているだけで、もうくだらない質問で大事な国会を混乱させるなというネトウヨ的な意見も多く出ているようだが、よく考えてみて欲しい。1年半前から追及してきたこのモリカケ問題だが、結局答弁がほとんどウソで固めたもので、役人が公文書を隠蔽したり、公表した公文書が改ざんされたものだったわけで、疑惑は全く解明されておらず、ますます昭恵夫人の関与の証拠が深まったわけで、自分や妻が関与していたら議員を辞すると断言していた以上、それを実行していただくほかないのだ。これについては、安倍総理得意のはぐらかしや言い回しの変更を行っており、関与というのは法的な贈収賄があったかどうかであり、そういう事実は一切ないと言い出したのだ。もうこれは総理大臣の答弁になっていないのだが、まさかウソや詭弁を言い出す始末。このような恥知らずの答弁を繰り返し、とにかくその場を収束させ逃げ切る戦術のようで、まだまだ恐ろしいことが起こりそうだ。

日本の総理大臣がこのような状態で、学校で子供たちに日本の政治や国会のことを聞かれた先生たちは、どのように説明しろというのだろうか? ウソをつかない、正しいことをする、その基本が国会にいる役人や政治家にできていない、それも日本の元首である総理大臣ができていないのだ。この状態は、日本にとって正に危機的状況ではないのか?
(越)

 

 

 


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