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■よりみち~編集後記

 

更新日2024/03/07



トランプ前大統領が「スーパーチューズデー」の15州のうち14州で勝利し、共和党指名を確実にしました。「もしトラ」から「多分トラ」そして「ほぼトラ」とか言われていたのだが、ついに「ガチトラ」ですでにトランプ再選は決まっていると言い出す政治評論家も出始めている。民主党の81歳のよぼよぼバイデン大統領しか対抗馬がない現状では、トランプ再選確実も当然の反応かもしれない。日本の裏金自民党の10%台の支持率しかない岸田政権がなぜ倒れないのかも不思議な現実だが、アメリカでトランプ大統領再選がまさか現実味を帯びてきていることに恐怖を感じる。この現実は、もう誰も止められないのだろうか?

「もしトラ」で話題になっていたトランプが返り咲いたら世界はどう変わるのかまとめてみたい。

まずは現状の紛争地の問題がどうなるか気になるのだがーーー

●ウクライナ支援からの撤退を表明=ウクライナ戦争停戦=ロシアとの対立は解消方向=莫大な復興支援金をEUと日本が負担する可能性
●イスラエル支持の姿勢が強いキリスト教福音派を強い支持母体=親イスラエル路線を継続=ガザ地区の被害拡大=パレスチナ難民問題激化
●欧州の同盟国軽視=NATO脱退を示唆=米国の核の傘が必要な欧州との駆け引き
●地球温暖化対策の「パリ協定」からの脱退=温暖化政策を大幅に削減
●化石燃料への投資を増やし、石油や天然ガスの大幅増産(ガソリン価格を抑える)=EVの移行に向けた制度を撤廃

次に中国との覇権競争や経済問題だがーーー

●中国が競争力を持つ太陽電池や風力発電設備、半導体汎用品などに関税=米中貿易戦争が激化
●中国が台湾有事を起こしても、アメリカは直接参戦しない(対中貿易赤字を劇的に減らすという“密約”=「台湾放棄」の可能性)

そして一番気になる日本への直接的な影響だがーーー

●すべての輸入品に10%の関税=日本製品のアメリカ輸入に10%関税=日米貿易を自国優位
●在日米軍の予算を日本に4倍請求=拒めば日米安保理を解消(=日本に『核共有』を迫る可能性)

アメリカ国内への影響も絶大だろうーーー

●アメリカ南部国境に殺到する不法移民問題=国境管理が厳格化され、強制送還が激増
●イスラム教徒の多い国からの入国禁止のため移民に「思想審査」
●全米規模での人工妊娠中絶の禁止

以上のように、トランプのやり方は、すべてをビジネスでの「ディール」(交渉、取引)の手法で個別に解決していく方式で、厳しい発言や制裁で相手を脅して譲歩を勝ち取るやり方で、徹底的に相手を追い詰め、交渉が決裂した場合の代償を払わせる恐怖を与える作戦だ。日本へのディールは、通商問題について日米安保理解消、在日米軍撤退、そして核の傘をチラつかせて追い詰めてくることは確実で、この脅しに対して毅然とした態度で属国主義からの脱却と日米安保や在日米軍の重要性を再認識させる努力が不可欠になるだろう。

それにしても、「ガチトラ」で世界秩序がぐちゃぐちゃになりそうでとても不安です。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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