第763回:スポーツとセックス・チェック
東京オリンピックの女子バスケットボールの決勝は、日本対アメリカという誰も予想しなかった顔合わせになりました。普段、私はテレビでスポーツ番組など全く観ないのですが、ダンナさんのバスケット熱に引きずられるように観てしまいました。日本は実によく戦ったと褒めてあげたいのですが、あれは、誰がどう観ても公平な試合ではないという感を強くしました。
と言うのは、背高ノッポのブリトニー・グリナー(Brittney Griner)にボールを渡して仕舞えば、あとは小人集団のようにさえ見える日本の選手がどう飛び上がろうが、ブリトニーの長い手の先のボールに届かず、彼女は楽々シュートを決めるからです。まるでキリンに群がる小鹿のようでした。
そして、ブリトニーは元男性のバスケット選手であり、性転換手術をして女性になったと知り、さもありなん、あの背の高さだけでなく、筋肉質の身体、まだ十分にオトコオトコしている体型ではありませんか。おまけに奥さんがいる(結婚しているのです)と言うのです。アメリカでは、同姓の結婚を認める州が増えているのです。
今、ブリトニーが注目を集めているのは、ロシアに麻薬?を持ち込み、裁判で有罪になったからです。彼女はロシアのプロバスケットチームと高給で契約し、ロシアに入国した時に、アメリカの多くの州で認められているマリファナ・エキスの入ったクリーム(これ、ウチのダンナさんもスキー事故の後、首や肩、足腰によくそれを擦り込んでいました)をロシアに持ち込もうとした容疑で逮捕されていたのです。
それも運の悪いことに、ロシアがウクライナに侵攻し始め、西欧、アメリカがロシア・バッシングを開始した時期で、アメリカとロシアの外交が途切れ、険悪になり始めた時でしたから、両陣営にとって格好のニュースソース(多分にゴシップ的ですが)になったのです。終いには、バイデン大統領がブリトニー救済の電話を直接ロシアに掛けたりで、マスコミ種になりました。
これも実におかしな話で、たとえアメリカ国内、ある特定の州で合法だからといって、外国に持ち出して捕まったなら、その当事国の法で裁かれるのは当然のことで、アメリカが口を出すことではありません。日本にマリファナを持ち込んだポール・マッカートニーが捕まったのと同じことで、あくまで当事国の法律を適用するのは当然のことです。
話が逸れてしまいました。性転換したスポーツ選手のことでしたね。
オリンピックだけではありませんが、最近の国際試合、女子サッカー、女子バスケット、女子バレーボールなどに、元男だった女子選手が多数混ざって活躍しています。それが水泳選手にまで及び、ペンシルバニア大学のリア・トーマス(Lia Thomas)選手は、他の選手より首一つ背が高く、圧倒的なパワー、スピードで他の純粋な女子選手を引き離し、常勝を続けています。
ここで問題にしているのは同性愛の問題ではなく、性転換して男から女になったスポーツの選手が、女性として記録破りの活躍をしているのを許すか、チームスポーツ、バスケットやサッカーで性転換して女性になった元男性を、生まれた時から?女性であった(チョット奇妙な言い方ですが)人と同じように扱えるかどうかの問題です。
水泳の記録では、男性選手の方が女性選手より10%から12%も速く、選手の筋肉の密度が全く違うそうです。リア・トーマスの記録を見ますと1,650ヤード(約1,500メートル)で男性としては32位、女性の中では38秒もの差でトップ、また200ヤード(200メートル弱)の競泳では、男性の中では554位なのが、女性の部の大学選手権ではチャンピオンになっているのです。
逆に女性から男性に性転換したスポーツ選手がいないのか、探してみたところ、いました、いました。2015年に競歩で活躍したクリス・モーセアーは41歳の時に自分の性を変え男性になりました。クリス選手は競技に勝つために性転換したわけではなく、男になること、男であることが自分にとってふさわしい、自然だと感じたからのようです。
イスラエルの体力運動学者、イラ・ハンマーマン(Ira Hammerman)が男女の差を82人(オリンピッククラスのエリートスポーツマン・ウーマンだけですが)、六つのスポーツの分野で調べ、女性はすべてのスポーツ能力、筋力で10%も劣ると結論を出しています。
彼女に指摘されるまでもないことですが、はっきりと男と女は違うのです。女子400メートルで向かうところ敵なしだったアリソン・フェリックス(Allyson Felix)の最高記録は49.26秒でしたが、それは今の男子高校生の記録より遅く、彼女の記録を破る男子高校生は275名にもなるそうです。このように性転換したスポーツ選手が跋扈しているのは、奇妙なくらいアメリカに偏っています。それはスポーツ即お金に結び付いているからでしょう。
持って生まれた性の中で思い切り自分を伸ばすのが自然なことだ、などと言うと何と古臭い考えだ、と(とりわけアメリカでは)思われてしまいそうです。自分で性を選ぶ時代だという人が多くなってきました。それはそれで時代の流れなのかもしれませんが、スポーツ選手として、男性の中では二流、三流だけど、女性になれば一流の選手になれる…というのは間違っていると確信しています。
性転換をした選手のカテゴリーを新たに作り、純粋男子、純粋女子、性転換グループに分けて争うのが公平だと思うのです。
-…つづく
第764回:目は口ほどにモノを云う
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