■よりみち~編集後記

 


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更新日2004/01/22


最近というかもう十数年になるが、食肉の疫病的な騒ぎが増えている。それも自然現象とはとても思えず、人間の胃袋を満たすために短期間に大量に生産して儲けるという金権主義とも複雑に絡み付いているのではないだろうか。狂牛病では、あの小さな国である英国だけで18万頭の牛が処分されているのだ。昨年大問題になって海外旅行客が激変したSARSもどうもハクビシンという動物の食肉が原因ともいわれ、つい先日からは今度は鶏インフルエンザである。人間の世界でも病院内で感染する院内感染が社会問題化しているように、病原菌が進化を重ね現代型の強力タイプになってきたことは間違いないが、人間の傲慢さからくる人為的な病気のように思えてならない。肉が危ないと言われて、英国の牛を巨大な穴に埋める映像を見せられた当初は、ちょっと気にしてみたりしたが、あまりの報道の多さに慢性化したことと、日本では比較的早く対策を講じていたこともあり、ぜんぜん気にしないで肉を食べるようになっている(とは言うものの焼肉屋さんはしばらくご無沙汰してるな…)。肉に戻っている理由がスーパーに出かけて気が付いた。肉が駄目なら魚にしようかと思うわけだ。ところが、魚はかつて雑魚と呼ばれた魚が驚くほどの高値の高級魚になっていて、きれいに数尾がトレーに並べられていたりするのだ。もう庶民には雑魚も食べられない時代がきているようだ。その昔、北海道ではハタハタは大きな箱単位で売られていたものだ。塩焼き、煮付けで食べきれないのをイズシ(ハタハタを米麹に漬け込んだ保存食で、正月の季節の定番だった)にしたものだ。日本人は魚も食べ尽くしたのだろうか? 魚が獲れない、魚が高い、安い海外牛肉が大量にやってくる、肉食中心の食生活に変わる、さらに大量生産のための人工飼料の開発、抗生物質が乱用されその場しのぎの対応、肉食用動物の免疫力の低下、そして疫病の大発生という構図が思い浮かぶ。インドの伝統でもある菜食の思想は、数千年もの間、このような疫病の危機に直面して、その対策として菜食主義が確立したのではないだろうか。BSE(牛海綿状脳症)と騒がれる割にはあまり詳しく知らないなと思いネット検索してみたが、1986年に最初に発見された英国では18万頭の牛にBSEが確認されたが、現在までの新変異型CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)による発症・死者数は106名ということで、現在の日本に置き換えると0.001人で、その発症率は限りなくゼロに近いのだそうだ。この先、アメリカが馬鹿な論法で押し売りをしてこない限り、発症する危険は日本にはなさそうだ。毎年インフルエンザで多くの人が死亡していることを考えると、そう危険度が高いわけでもないそうだ。数年したらひょっとすると、テロに巻き込まれて死亡する確率の方が高いことになるかも…。いずれにせよ、雑魚も高くて食べられないという嫌な時代になったものだ。(