のらり 大好評連載中
2023/01/12掲載

■新・汽車旅日記
~平成ニッポン、いい日々旅立ち
 
第737回「新横浜~福井~東京、ぐるり一周(3)- えちぜん鉄道 -」

福井商工会議所の最寄り駅は福井鉄道福武線の商工会議所前駅だ。わかりやすい。福井駅前から路面電車に乗って10分ほどだ。それを遠回りして行く。私はJR福井駅の改札を出て南口を出た。福井鉄道の駅とは反対側だ。工事中の新幹線高架駅を通り過ぎれば、えちぜん鉄道の福井駅がある。赤くて四角い建物だ。2月に来たときは外観ができあがっており、壁の赤色はサビ止め塗装の色だと思った。しかしこれが本塗装で、木材を使った内装と相性の良い“さび色”にしたという。プラットホームの天井は永平寺の格天井を模したという。ならば建物は朱色にしたと言えばいいのに、さび色である。鉄道の鉄のイメージを重ねたか。プラットホーム階の側面はガラス張りで電車が見える。鉄道模型の陳列ケースのようでおもしろい。格天井も見えるけれど、磨かれたガラスのせいで向かいの建物と青空と雲が映り込んでいた。

杉山 淳一

杉山 淳一  ※只今休載中 

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2024/04/18掲載

■店主の分け前
~バーマンの心にうつりゆくよしなしごと
 
第477回「流行り歌に寄せて No.272 「赤色エレジー」~昭和47年(1972年)4月25日リリース」 up 
「同棲」という言葉に憧れていた。とてもロマンティックで、そして淫靡な響きがあった。 林静一の漫画『赤色エレジー』は、雑誌『ガロ』に昭和45年(1970年)1月号から1年間、上村一夫の『同棲時代』は、雑誌『漫画アクション』に昭和47年3月2日号から1年8ヵ月にわたり掲載されていた。上村一夫の画も妖婉で魅惑的だが、林静一の画は儚い叙情性を帯びていた。『赤色エレジー』は幸子と一郎、『同棲時代』は今日子と次郎。幸子はトレーサーで、一郎はアニメーター。今日子は広告会社勤務で、次郎はイラストレーター。カッコいいカタカナ職業に就ている二人が甘く淫靡な生活を送り、そして哀切な別れ方をする。当時高校2年生だった私は「高校を出たら、絶対に東京に行く。そして・・・」という想いに駆られたものだ。 さて、今回の曲は、あがた森魚が…

金井 和宏

金井 和宏    

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2024/04/18掲載

■西部開拓時代の伝承物語
~黄金伝説を追い求めて

第1回「本当にあったかも知れない、実際には起こらなかったかもしれない話 その1」
up 
※新連載スタート

もともと歴史的事実とそうありたい、そうあって欲しかったと願う心情の間に一本のくっきりとした線を引くのは不可能だと思う。伝説の多くは人々の願望が作り上げてきたモノガタリで、事実ではない。だがそんな伝説の中にこそ、その時代に生きていた人々の真情が作り上げた真実があり、人々の姿が浮かび上がってくるものだと思う。誰もギリシャ神話に登場するいかにも人間臭い神々の実在を信じてはいないのだろうが、彼ら、彼女らは豊満で強靭な肉体を持ち、人間本来の欲望、弱さ、強さ、感情を豊かに持っていて、縦横に活躍し、伝説を作り上げている。聖書にしてから、荒唐無稽なハナシに満ち満ちているではないか。福音書で一番古いとされているマルコですら、イエス・キリストの死後半世紀以上経ってから書かれているから、マルコ自身はイエスに…

佐野 草介

佐野 草介 

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2024/04/18掲載

■亜米利加よもやま通信
~コロラドロッキーの山裾の町から
 
第847回「旅は道連れ、世は地獄…?」
up
旅に出かける前の高揚感はいったいどこからくるのでしょう。毎日同じことを繰り返している日常から脱出できる、サーテトこれから新しいモノ、コト、ヒトとの出会いがはじまる……という期待感に溢れ出発します。それがパッケージツアーであれ、個人個人が練りにネッた計画を実行に移す一人旅であろうが、同じでしょう。旅は嫌いだ、という人は珍しい存在なのかもしれません。定年退職し、念願の長期旅行、大きなキャンピングカーを引いて全米国立公園巡り、少し豪華にクルーズシップでカリブ海をはじめアラスカの氷河、地中海の史跡巡りと、長年の夢を実現する人は何と多いことでしょう。ですが、旅の持つイメージに幻惑され、日常性から解放される喜びに浸ることができるのも、最初の数日のことで、旅先での現実、三度の食事を現地のレストランで、あるいはキャンピングカーなら、ほとんどの場合、女性の仕事になってしまう料理、後始末、などなどの旅の日常に追われることになり、あゝ家に居れば…

グレース・ジョイ

Grace Joy(グレース・ジョイ)

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2024/04/18更新

■ドレの『狂乱のオルランド』 
~物語の宝庫、あらゆる騎士物語の源

第8歌 騎士たちとアンジェリーナのその後
第3話「老呪術師の淫らな欲望」
up
呪術師が地獄から呼び出した悪鬼を体の中に入れられてしまった馬は、アンジェリーカを乗せて、呪術師が命じた場所へとまっしぐら。やがて馬は、切り立った岩山に囲まれた小さな、人の気配など全くない砂浜まで来てようやく止まった。落とされまいとしがみついて疲労困憊していたアンジェリーカは、目の前は海、周りは切り立った岩の壁という場所の、いかにも怪しげな気配に恐ろしくなり、滑り落ちるようにして馬から降りると、岩陰に身を寄せて、自らに降りかかった運命のあまりのむごさに絶えきれず泣き崩れた。もちろんそこは、老いた呪術師が自らの不埒な欲望を遂げるために選んだ場所。やがて陽も暮れかかり、麗しの乙女がますます心細くなり、誰かにすがりたくなる頃を見計らって呪術師は、地獄から連れ出したもう一匹の空飛ぶ悪鬼に乗ってやってきた。どこにも逃れようのないこの場所で、たった一人で泣き崩れている絶世の美女に慰めの言葉をかけ…

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谷口 江里也 

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2024/03/28掲載

■よりみち~編集後記 
自民党の裏金問題は全く反省もなく、いつもの得意技である“忘れるのを待つ作戦”で終わる可能性が高くなってきたようです。そもそもこの自民党の裏金問題は、派閥からのキックバックを収支報告書に記載しない脱税行為のわけで、裏金だキックバックだと言われていますが、脱税のためのマネーロンダリングであり、ヤ〇ザ組織が専売特許の脱税なのです。それがどういうわけか、政治家という肩書があれば、政治資金の単なる記載漏れで、修正報告すれば全く罪に問われないという全くナンセンスな法解釈で誰も逮捕されたり、追徴課税されたりしないのです。この自民党の裏金づくりはすでに30年以上前から行われていた報道があり、今回の議員証言からは間違いなく20年以上前から行われていたことが判明しています。それではなぜ裏金づくりがパーティー券購入資金の流用で行われてきたのでしょうか? 企業からの政治献金が国会内で問題化して、自民党議員と企業の癒着が騒がれるようになり、パーティー券を20万円を超えて購入した個人や団体の名前や金額を、寄付の場合は5万円を超え…

よりみち

「のらり」編集部

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