■よりみち~編集後記

 


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更新日2008/02/21


スパム、ジャンクメール、迷惑メールと色々と呼び方はあるが、とにかく厄介で、しつこく、懲りない奴らがせっせと送りつけてくる違法メールのことだ。全メールに占めるスパムの割合は78.5%とも言われ、迷惑メールの4割以上は欧州のコンピューターから送信されたという(米シマンテック社;2008年2月5日発表)。従来は米国がスパムの発信源だったのが、欧州のブロードバンド化が急激に進展したため、2007年10月頃から欧州がトップとなっている。年間で約5兆通のスパムがインターネットユーザの受信箱に入り、ソフトウェアのフィルタリングなどで、約100億ドルの生産性が失われているといわれている。このスパムで日夜大変な思いをしている人々が多いと思うのだが、日本でも総務省がやっと重い腰を上げたようだ。迷惑メールの規制強化として、迷惑メールを送信した業者に対して、従来までの罰金の上限であった100万円から一気に3000万円まで引き上げると言うのだ。なかなか本気を出してきたのかなとも思えるが、果たしてどれだけ効果が上がるのかは疑問がある。スパマーも年々巧妙になってきていて、ほとんど国内からではなく中国や欧州のサーバーを使って送りつけてきたり、「ボットネット」と呼ばれるウィルスに感染したPCをネットワークで操り、他人に成りすましてスパムを送り付けてきたりと、送信者の特定がかなり難しくなっているようで、スパマーの尻尾をつかんで摘発まですることが日本の警察や役人でできるのだろうかという疑問である。よほどネットワークに長けた専門家が追い詰めなければ摘発すら難しいだろう。海外のスパマーたちの月収は平均で77万円~108万円という数字も発表されているが、日本のスパマーも先日捕まった男が月収200万円という報道があったので、一度やり始めたらやめられない高収入でリスクの少ない仕事だから、どんどんとスパマーが増殖してきているのだろう。米国の場合は、もっと罰則が厳しく被害額に見合った罰金としていて、ある程度は見せしめになっていると思える。米国のインターネットサービスプロバイダーであるCIS社が、2億8000万通を超える違法なスパムメールを大量に送付したフロリダ州在住の男性ジェイムズ・マッカーラ被告を訴えていた裁判で、2007年12月23日、112億ドル(約1兆3000億円)の支払いを命じる判決が下され、被告には今後3年間インターネットへアクセスすることも禁じられた。ただし、アメリカではスパム送信自体は違法ではないらしい。違法になるのはメールで企業ドメイン名を偽ったり、誤解を招く件名をつけるといった不正な内容を含むメールを送信した場合のみだというのだ。CIS社の件も同社のドメインから発信したように偽装してスパムを送り、苦情が同社に送られるように偽装したから訴えられたのであり、スパムだけでは犯罪にはならないようなのだ。米国も日本と同様スパムに泣かされている人がまだまだ多いということだろう。オーストラリアではスパム送信そのものが違法とされているというから先進的である。なんとか日本もスパム撲滅のための先進国になってもらいたいものだが、期待はむなしくなるだけかもしれない。せめて、スパムを取り締まっている姿勢だけでも目に見える形で報道して欲しいものだ。実際に、ちょっとしたパソコンの技術があって、成功報酬として遊んで暮らせる金額が入るとしたら、危ない橋でも渡ってしまう人は多いはずで、ましてやハッカーの技術でもかじっていれば、捕まるなど考えもせず、罪悪感など一切なしに手を染めてしまい、それが職業化してしまうのではないだろうか。80%近いメールがスパムと言われている現在、ネット社会の健全化を目指すためには、なんとしてでもこの能天気なスパマーたちを増やさない方法を地球規模で考えなくてはならない時期にきていると思える。本当はこのようなスパマー撲滅のために国連などが機能すべきなんだと思うのだが……。(K

 

 


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