■よりみち~編集後記

 


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更新日2004/02/26


「セロトニン神経」というのが最近注目されているようだ。ゲーム脳だとかキレやすい子供だとか話題になっているが、その原因にもこのセロトニン神経が関係あるらしい。子供のTVゲームに夢中になる姿が気になって、『セロトニン欠乏脳』(有田秀穂著;NHK出版・生活人新書)を読んだのだが、今の世の中全体がセロトニン欠乏症ではないかと思えてきた。アドレナリンやドーパミンなどの脳内物質はかなりポピュラーになっているが、このセロトニンというのもかなり重要な物質であることが最近の研究で分かってきたようだ。特に“うつ病”の原因はこのセロトニン神経の衰弱にあると言い切ってしまうほど関係が深いようだ。うつ病の治療薬として、脳内のセロトニンレベルを高く維持するSSRI(選択的セレトニン再取り込み阻害薬;プロザックという薬がとても有名らしいが、日本ではまだ認可されていないようだ)が欧米や日本で使用され効果をあげている。ただ、セロトニン神経はとても扱いが難しい神経で、薬が合わない場合はかえって危険な状態(最悪は自殺)に陥ることも指摘されている。その昔、LSDなどの幻覚促進剤が流行したが、このLSDもセロトニン神経に作用して恍惚感を得られるもので、使い方によってはとても危険な薬になってしまうわけだ。著者の有田教授(東邦大学医学部)は、薬を使わないでセロトニン神経を鍛える方法を提唱している。それがなんとリズム運動なのである。どんな運動でもよいらしい。30分以上やらないと効果があがらないらしいが、一定のリズムで行う運動であれば、ガムを噛むことでもよいというのだ。ウォーキング、自転車、水泳、座禅、など呼吸法と併用するともっとよいらしい。要は早起きをしてちゃんと運動をすればセロトニン神経は鍛えられるようだ。セロトニン神経が弱ってくるとうつ病に似た症状になり、さらに障害が起こると攻撃的で暴力的になり凶悪事件などを引き起こす場合もあるようだ。最近のちょっと考えられないような事件や子供の凶悪犯罪なども、このセロトニンの問題と考えるとうなずけるのではないだろうか。私も明日からガムを噛んでみようかな…。(