■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2008/02/28


このコラムにはあまり政治的な文章は書くべきではないと思っているのだが、最近の日本のニュースを見聞きしていると、どうにも自分が日本人であることが情けなくなってくるのだ。世の中は21世紀のIT時代で、NGN(次世代ネットワーク)やらSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や携帯電話の加入数が1億件と突破したこのネットワーク全盛時代になっているにもかかわらず、まったく変化というものがない分野が日本の政治、そしてその根幹となっているのが日本の官僚主義だ。その起源は明治時代まで遡り、世界大戦での降伏により、すべて変革されたはずの日本のシステムだったはずが、唯一死守されたものが日本の官僚主義だった。どんなに政治家が選挙で変わろうが、政権交代されようが全く変わらないのが官僚たちの地位と権力構造であって、社会保険庁の無駄な施設や会計処理が発覚し、さらにずさんなデータ処理が暴露されたり、年金問題でこれだけ社会的にも騒がれていても、道路公団問題で不要な天下り用の財団や組織が明るみになっても、官僚は誰一人として監獄に送られていないし、裁判沙汰にもなっていない(ごく一部の横領が告発されて、書類送検されてはいるようだが)。官僚たちは絶対に尻尾を出さないように巧妙に世渡りするノウハウを明治時代からの官僚主義のノウハウをしっかり蓄積して、保身のための万全のシステムを体制内に持ってしまっている。そのシステムは腐敗しきっていて、どんなに正義感の強い役人が配置されても、すべて呑み込んでしまい、同じ穴の狢を作り出すようにシステム化されていて、そのシステムを甘んじて受け入れることができる狡猾なエリートキャリア組だけが生き残れるようにシナリオ作成されているわけで、一人や二人の頭を切っても自動的に再生される化け物になっている。政治家が大臣として就任して官僚制度そのものにメスを入れようとしても、官僚たちに反感を持たれた途端、大臣としての仕事は一切機能しないようにできてしまうし、官僚に従わない大臣たちは必ずスキャンダルや責任問題などで、議員としての存続もあやうくなるような追い落としが実行され、結局のところ大臣の頭だけが変わっただけで、官僚チームは一切責任なしでやりたい放題ができる仕組みになっているようだ。この化け物と化した官僚主義制度を打破するためには官僚トップにしっかりと責任を負わせるシステムを確立するしかないはずだ。一般の民間企業で実績のあげられなかった部長や役員は、責任を取らされて降格されたり取締役を解任されるのが当然なのだが、官僚にはそのような降格や減給がないのがおかしいわけで、なにも実績が残せなかったり業績が悪化した場合には、責任を取らせるのだ。官僚やいわゆる役人にとって最も恐れていることが責任という言葉だから、自分に責任のあることはできるだけやらない人種なので、無駄使いもなくなるし、もっと自分の保身のために実績をあげる努力をするようになるはずである。そのために、とりあえず必要なのは政権交代であり、今の民主党にそれができるかどうかは大いに疑問だが、少なくとも今の自民党では絶対に日本の官僚主義は変えられないことは明白なのだから、このチャンスの時にこそ政権交代を望みたい。(

 

 


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