■よりみち~編集後記

 

■更新予定日:毎週木曜日

更新日2002/04/18

友人Y氏の右足は、現在医療用ステンレスによって縦横無尽に串刺しにされている。ファンスキーでジャンプの着地に失敗した彼の足は、もうかれこれ1年以上の間、途中で分断され、ぶらーんぶらんの空洞状態。折れた骨と骨の間に、現在5センチの隙間があるというのだという。彼の右足を囲むように規則正しく組まれた、銀色に光るステンレスの針金。まるで彼の足元で、ビルの建築が行われているかのようだ。有機物のはずの足が、無機質な、幾何学的な部品に見える。この「ビルの鉄骨」は名前を「イリザロフ創外固定器」といい、名前からも分るとおりロシア生まれの治療法だ。折れた骨を四方八方から支え、骨折箇所にわざと隙間を空けて新しい骨の形成を助ける。骨は一日1ミリ、ちょっとずつ育つのだとか。こうして5センチ分、日々骨を育てていくわけである(ということは、5センチ育てるのに50日かかる!!)。ゲーム好きの彼に言わせれば、自らの体で行う、50日間に渡る地道な「育てゲー」。昔ナツカシ「たまごっち」みたいなもんである。ゲームのエンディングまで、まだまだ先は長いが検討を祈る。(SAYAKA,K;北村


来客があったので、ケーキを焼こうと前日の夜中に奮闘した。本来チーズケーキと呼ばれるはずだったブツは、致命的な失敗を2、3犯してできあがった。見た目は、崩れた卵豆腐のような、あるいはカステラのような形容しがたい物体。しかもまずい……。並行してブルーベリーのスコーンを焼こうとした。ベーキングパウダー(ふくらまし粉)がなかったので、代わりにホットケーキミックスを入れて焼いたら、硬いカルメラ焼きができた。スコーンのはずなのに。味はまあまあ、でも硬い、石のように。ちゃんとレシピ通りに作れってことか。結局、お客さまに出したのは、大急ぎで買ってきた煎餅。「失敗は成功の元」という言葉もあるじゃないか(自分で自分を励ます)。(志岐


またもや冷や汗をかいてしまった。突然「うっかりしていない?」のメールが届いて、「…?!あっ、おぉぉまい…」。慌てて送信済みフォルダを確認。そう今ハヤリの? FW:(転送)メールの誤信というヤツです。今回は幸いにも気心の知れた友人だったので、送り先から「いやー怖いっすねー」の一言で済ませてもらったのだが、以前は客先に誤信してしまい、冷や汗どころかしばらくフリーズしてしまった。あれ以来、メールの誤信だけは気をつけようと思っているのだが。。。どうもチョンボ(大辞林:うっかりしておかした失敗やミス)は忘れた頃にやってくる。ジュネーブ駐在の外務省高官の不倫メール誤信事件で、最近マスコミが盛り上がったが、事件を巻き起こした本人は、今ごろメールの送信ボタンを押せない症候群に悩んでいるかもしれない。ITによって確かに便利になって、様式や方式も変わってきた。簡単にそしてスピーディな方向に何でもが向かっているようで、昔はあり得なかった落とし穴も出てきた。そんな中、スローフードのブームのように、もっとゆっくりと、ナチュラルに、シンプルにという復古的な動きも見直されてきている。この「のらり」の魅力もスローフード的なところだと思っている。ふと立ち止まって、耳を澄ますように、時には「のらり」特有のゆったりとした時間が必要ではないだろうか。すごいこじつけの宣伝でした。(越谷) 。