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■よりみち~編集後記

 

更新日2024/06/06



最近の日本国内の政治経済のニュースをチェックしていると、この国がホントにネット社会が進展し、AIによる自働運転の電気自動車やドローン自動車がもうすぐ登場するという国なのかどうか疑問を感じます。
日本共産党の新聞『赤旗』の日曜版特集で「自民党裏金問題の深層」(2022年11月06日号)が掲載され、そこから裏金問題が注目され、神戸学院大学の上脇博之教授が更に緻密な調査を進め、自民党派閥の裏金づくり発覚の発端となった政治資金パーティーの不記載問題を刑事告発したことで一気に注目されることになりました。
裏金自民党が暴露された岸田首相は、「先頭に立って、国民の信頼を回復すべく党の体質刷新の取り組みを進める」として、自民党内に「政治刷新本部」を一応発足させたが、計39人の処分だけでお茶濁し、それも形式的な処分で、「離党の勧告」「党員の資格停止」「党の役職停止」で、時間が経てば平気な顔で元に戻る程度の甘々のヤッタふり処分で、全く自民党の根源的な裏金問題を解決しようという姿勢は皆無と言ってよいでしょう。
そして注目されていたのが、今後の国会議員の政治活動や選挙対策にも大きな影響力を持つ「政治資金規正法」の改正ですが、あれほど自民党の体質刷新すると言い切っていた岸田首相とは思えないほど、全く変わらない内容に愕然としました。
▼議員の責任強化のため政治資金収支報告書の「確認書」の作成を議員に義務づける
▼パーティー券の購入者の公開基準額をいまの「20万円超」から「5万円超」に引き下げる
▼政党から議員個人に支給される「政策活動費」については、項目ごとの使いみちや支出した年月を開示し、10年後に領収書などを公開する

これで一体何が変わったというのでしょうか? 公開基準額の20万円超えから5万円超えは規正法発足の当初から、企業団体名を隠すためだと批判されてきたもので、5万円超えにしたところで、手間が増えるだけで、企業団体からの無記名の献金はなくなりません。
収支報告書による偽装を防止するために、議員に義務付けたことは当然のことで、秘書が勝手に提出したという言い訳を許していた現状が問題なだけで、これも改善とも言えないものです。
さらに、問題が指摘され続けてきた「政策活動費」のガラス張り化に至っては、なんとあろうことか10年後に領収書を公開という、誰もが思う隠ぺい工作でしかありません。10年後に議員でなければ公開義務もないことになりそうで、やりたい放題やって10年後には消える議員が続出することがすでに予測できます。

そもそも裏金づくりは何のためなのかと言えば、カネのかかる「選挙工作」であり、領収書や帳簿に記載できないカネであり、申告できないカネなのです。キックバックとか還付金とか、悪いカネだから言い方を変えていますが、すべて脱税しているわけです。これは江戸時代以前から続く政治の恥部であり、悪徳商人とお代官様の関係は延々とこの令和の時代まで続いているのです。
裏金自民党の体質を刷新するには、唯一、企業献金を禁止すれば良いだけです。パーティーで選挙資金を集めることが悪いのではなく、特定の大企業と癒着して、その大企業に有利な法案をつくることが問題なのです。大企業も自らのための法案づくりを願って出したくもない政治献金に協力しているわけで、献金は個人が、そしてデジタル処理による献金でしかできなくするだけで、すべてがクリーンになるはずです。
本当の意味でのガラス張りの政治がデジタル時代には不可欠なのですが、裏金自民党は江戸時代に戻ることばかり夢想しているようで恐ろしくなります。(越)

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO

 

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