■よりみち~編集後記

 


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更新日2004/06/10


ソフィア・コッポラ監督作品の「Lost in Translation」を観た。 この映画は日本人には結構笑える映画かもしれない。成田空港からいきなり新宿の「パークハイヤット東京」に連れてこられて、理解不能な日本語の嵐や日本という不思議な国を体験するアメリカ人観光客(ビジネスマン)のとまどいがよく描かれている。われわれが初めてのヨーロッパやアメリカで体験する戸惑いと同種のものかもしれない。その中にエキゾチックで不思議な高揚感や言葉の通じないもどかしさや孤独感の体験が重なり、そこでしか体験できない自分だけの街ができあがっていくのだ。そんな異国の街・新宿のホテルで知り合った中年でそこそこ有名な俳優(ビル・マーレイ)と大学を卒業したばかりの新婚の若妻(スカーレット・ヨハンソン;どうも名前が北欧系だ。とてもチャーミングで魅力的な女優で、今後が楽しみ)の不思議な異国での恋の物語が展開される。手を握るでもない、愛を告白するでもないぎこちない中年の恋だ。愛ということ、孤独ということ、いろいろなことを短い時間に考えさせてくれる秀作だと思う。但し、どこが印象的な場面なのかと言われると、全体がと答えるしかないような、なにげないカットが繰り返されるだけなのだが、その何気なさがすべて計算されたものだと観終わってわかってくる。これはコッポラ家の血のなせる技なのかもしれない。東京を外国人になった気持ちで旅したいなら是非おすすめしたい映画だ。ちょっと気になったのは登場する日本人があまりにもステロタイプの日本人で、そりゃアメリカ人から見るとその通りだろうが、もうちょいと好意的に描いてもらいたいという愛国心?がでてきてしまった。でも、なにを話しているか理解できない不思議な国の人々なのだから、外国人が見た日本人ってこんなもんなのかもしれないな。もう一本は話題のウォルフガング・ペーターゼン監督作品の「TROY」。これはまさにブラッド・ピット礼賛映画だ。最近、あまりヒット作品がなかったが、これは文句のないブラピらしいシーンの連続だ。ブラピ・ファンの女性は眠れない夜を過ごすことになるかもしれない。本当にアキレスという武将はこんなに強かったのだろうか? オーランド・ブルームの出演も話題になっていたが、この役はひどすぎる。情けない王子役なのでさぞかしファンはがっかりすることだろう。また、初めて西洋の剣の殺陣のすごさを見た気がする。もちろん脚色しているわけだから、現代風にアレンジしているのだろうが、剣さばきがリアルでこれも見ごたえがある。奇襲戦法としてトロイの木馬が有名だが、自分のイメージしていた木馬と違ってちょっと驚いた。随所にCGがふんだんに使われているのだが、それほど違和感がなく、大戦闘シーンなどを描くのに成功しているように思えた。それにしてもこの映画で描かれているトロイという国が一人の女性のために滅びたというのは事実だったのだろうか? ギリシャとの10年戦争で衰退して滅亡したと思っていたんだが…。まあ、面白かったのでいいことにしよう。(K