■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2005/06/23


去年(2004年)の3月に東京のど真ん中の銀座で白昼堂々と起こった外国人窃盗団による35億円もの宝石強盗事件は記憶に新しい。この国際手配されていた窃盗団の一味が今月次々と逮捕された。通称「ピンクパンサー」と呼ばれ、まるで映画のシーンのような事件の数々に、とんでもない極悪人たちであるのだが、漫画の「ルパン三世」のイメージがダブり、どうも気になる人たちである。この窃盗団はセルビア・モンテネグロ出身の20代から30代の男女3人とイギリス人女性1人ということらしく(まだ、4人で全員かどうか定かではないようだ)、ヨーロッパ各地で5年ほど前から高額のダイヤモンドばかりを狙う強盗グループとして指名手配されていたそうで、日本まで遠征してきていたわけだ。たぶん、日本の宝石店のセキュリティの甘さや犯罪慣れしていない日本の警察がウワサになり、ぼろい儲けになると出稼ぎにやってきたのだろう。それにしても、出身地のセルビア・モンテネグロという国の名前の響きからして怪しい。モンテネグロ=黒い山、かなり神聖な黒い山があるのかもしれないが、どうも怪しい国名でさる(モンテネグロ地域の皆さん、すいません! これ単なる偏見です)。ここは旧ユーゴスラビアで、とにかく人種問題で大変なところだ。アルバニア系住民によるコソボ地区の独立運動があったり、キリスト教徒とイスラム教徒とがいがみ合っていたりしている。どこにもヘソがないのだ。その昔、ユーゴスラビアの時代にバスでこの国を横断したことがあるが、なぜか陰湿で暗い性格になる風土という印象で、東欧諸国全体が貧しかったが、特にここの地域の人々の暗い顔が気になった。その暗い国に嫌気がさして、一発大逆転人生を目指したセルビア・モンテネグロ出身の男女が目を付けたのが高額ダイヤモンドだった。確かにこれほど明るい宝石はないものね。その手口は、まず1週間ほど前からカップルを装った男女が現場を下見。犯行時は必ずカツラで変装してお客として来店。フランス製の軍用催涙スプレーを店員に吹き付けるなどして、高額ダイヤを強奪。現場からはバイクなどで逃走し、すぐに国外にタカトビするというもので、ほとんど同じパターンだったようだ。複数の美女が登場することでも話題になったが、たぶん最初の計画がウソのように成功して、その成功パターンを繰り返していたのだろう。ヨーロッパ6ヵ国で犯罪史上最高被害額となる宝石を盗み出したそうで、13ヵ国の捜査当局が行方を追っていた。一方、出稼ぎのセルビア人が地元から呼び寄せられ、犯行ごとにメンバーが入れ替わり、グループの総人数など実態はまだ謎だとする情報や、盗んだ宝石類の一部はスリランカの地下マーケットで現金化されていたという情報もあり、まだ全貌が見えていないようだ。実際に、盗まれた高級ダイヤがニューヨークの宝石鑑定機関に出品されたこともあるらしい。ちなみに、「ピンクパンサー」と呼ばれる名前の由来は、盗まれたダイヤがメンバーの恋人が使っていた化粧瓶の中にあったことが、映画『ピンクパンサー』に出てくるシーンと同じだったことからで、名付け親はロンドン警視庁の捜査員らしい。悪い奴等のことなので不謹慎ではあるのだが、彼らのことを映画にしてみたくなるのは私ばかりではないと思える。(

 

 


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