■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日


更新日2004/06/24


個人情報の漏洩の問題がここ数年異常に増加している。ネット関連のデータベースが自分の会社の社員や元社員によって持ち出されたりしたケースがほとんどがだ。ネット社会のセキュリティの問題が注目されているのと平行して、もっとも原初的な方法でのデータベースの漏洩が発生しているというのが皮肉な話である。ネットからの侵入者であるハッカーやクラッカー、そしてSPAM攻撃からいかに企業は身を守るのかがこれからのネット社会のテーマのわけだが、データベースを管理する社員が特別の罪の意識もなく、データを買ってくれるところがあるからと、簡単に悪魔に身を売ってしまうのだから、どうやって社内の管理ができるというのだろう。やることはただ一つ。「監視」しかない。社員一人ひとりの行動やネットでの作業記録をすべて監視して記録し、不正がないかを事前に検証したり、もし不正が発生した場合には、瞬時にその証拠の記録を使って訴える。まるで映画『未来世紀ブラジル』(1985)につながるような管理社会に進もうとしているのではないだろうか。ネットへの依存度が高くなればなるほど、ネット内での個人監視やログ解析、そして情報管理などが進んでいくような恐怖感がある。誰がいつどこでどんな情報をクリックしたとか、こんな傾向や好みがあって、こんな商品を目の前に出すと飛びつくかもしれないというような個別のマーケティングまで進化していくこともあり得るだろう。アダムのリンゴではないが、我々がネットというリンゴを食べてしまった以上は、この個人情報の漏洩という問題に対しては、ある程度のリスクを背負ってしまったことはあきらめなければならないのかもしれない。とはいうものの今日の海外ニュースにあるような事件が続くとちょっと怖くなるのも事実だ。「米AOLが9,200万件のスクリーンネームを流出」。逮捕された犯人は同社のコンピュータエンジニアで、もう一人の犯人が5万2000ドルでSPAMERに販売したという。このようにSPAMがどんどん増えつづけているということなのかもしれない。社会的な制裁を与えるぐらいもっと罰則を強化したり、本格的な国際ネットポリスを各国で組織して連携捜査やオトリ捜査なども実施するぐらい、ネット内でのルールづくりも急務ではないかと思うのだが…。(K