■よりみち~編集後記

 


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更新日2006/06/29


誰でもが知っているというか、毎日お世話になっている「Windows」。このWindowsの生みの親でもあるアメリカの巨大なコンピュータソフト会社「マイクロソフト」の会長であるビル・ゲイツが2年後の2008年7月に経営の第一線から退き、「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」(Bill & Melinda Gates Foundation)の活動に専念すると先日発表した。以前から医療と教育に関する慈善事業を行ってきているが、引退して財団の活動に専念するらしい。昨年度のゲイツ財団の拠出資金は13億6000万ドルで、約6割を貧困国の子供の予防接種やエイズやマラリアのワクチン研究などの医療分野に投入し、米国内では図書館への寄付など教育水準の引き上げに取り組んでいる。今年51歳になったビル・ゲイツの個人資産は推定500億ドル(約6兆円)と言われ、12年連続で世界一の資産家に輝いている(米国の雑誌「フォーブス」の長者番付)。但し、6兆円と言っても大半はマイクロソフト社の株式の売却益や含み益で、現在も同社株を約10億株(発行済株式数の約9%)を所有していることになる。最近話題のライブドアの堀江さんのように、不祥事が起これば株価が急落して株が紙切れ同然になることもあるわけで、ゲイツ会長なき後、マイクロソフト社は果たして大丈夫なのか、今後の株価がちょっと気になるところだが、さすがにゲイツ会長の準備は万端のようで、CSA(主席ソフトウェア設計者)をレイ・オジーに移譲し、今後は会長兼相談役として、主要な開発プロジェクトの指導にあたるということで、完全に引退とはいかないようだ。株式会社アスキーの創業者で、米マイクロソフト副社長を務めたこともある西和彦氏によれば、ビル・ゲイツはOSの世界では頂点に立ったが、ネットの世界では再三トライを繰り返してきたが、結局頂点に立てず、iTuneやGoogleなどには勝てないことに限界を感じており、次の世代に巻き返しの期待を込めての引退宣言になったのだろうと解説している。また、今後のマイクロソフト社の戦略は、「リモートデスクトップ」にあり、OSはもちろんアプリケーションもすべてサーバーから呼び出して使うようなシステムを提供することにあるようで、いわばパソコンのハードもソフトも一体になったサーバーシステムの会社になっていくようだ。ネット上につながったセットボックス(OSだけが動くPC)があれば、どんな場所にいてもリモートデスクトップで自分の環境を呼び出して作業ができるシステムで、確かに世の中の流れとして確実にそちらに向かっている感じがする。TVの地上デジタル化、光ファイバ(FTTH)化、無線LANの普及、モバイル端末の進化、5万円パソコンの定番化、携帯端末の進化とWeb化、IP電話の劇的な普及など、パソコンとTVと電話が一体化された端末で会社や自宅の区別なしに使える環境が求められてきている。数年もしないうちに、パソコンやネット端末があれば、単にマイクロソフトとサーバー契約をするだけで、ネット+パソコン+テレビ+電話が使い放題で、どこにいても自分のデスクトップ環境が使えるサービスが提供されるかもしれない。ゲイツ路線がオジー路線に変わることでマイクロソフト社がどのように動くのか注目が集まりそうだ。ただ、昔のアップル社でもそうだったように、業績が低迷してまた創始者が戻ってくることも十分ありえそうだが・・・。(

 

 

 

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