■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

更新日2003/07/03


唐突だが、いつの間にデザートという言葉は「スイーツ」にとって替わられたんだ。「スイーツ」と言うのは正直恥ずかしい、私は。以前、アパートを探していたときに、不動産屋の営業マンが物件を見せながら、「こちらなんかプティペンションのようでしょう」と言ってきた時、「プティ」という言い方がしゃらくさくて思わず無視しちゃったことを思い出した。フランス人じゃあるまいし「プチ」でええだろうに、と思ったのだ。先日も、知り合いが「セレブって言葉の持つ鼻持ちならないしゃらくささが我慢できない」と言っていた。そこまでの違和感や嫌悪感はないものの、いくら素敵な男性でも「スイーツ」なんて言われた日にはかなり引くと思う。言葉は生きているのね、と思うだけに、思慮深く、センスよく使っている人に憧れる今日この頃。(志岐


先日、某教育テレビを観ていたら、子供の調査で、ちょっとびっくりする内容のリポートがあった。まず驚いたのが、最近の公立学校の聞き取り調査結果で、「いじめ」が報告されている学校は、小学校で約35%、中学になるとほとんど50%、高校で25%で、そのパーセントに合わせるように、不登校の児童・生徒が増えているそうだ。やはり中学生がダントツで多い。当然のことながら、いじめは報告されていない数の方が多いわけで、いじめのない学校はほとんどないと考えたほうがよさそうだ。不登校の生徒数は、バブル終焉期の平成1年あたりから、まさにウナギのぼりで増加の一途で、これはもう家庭で解決できる問題ではなく、完全に社会問題として取り組むしかないようだ。さらに驚いたのは、「幼児虐待」の増加だ。虐待というと暴力的な折檻(せっかん)をイメージしてしまうが、実は「無視」という虐待行為があるのだ。実際に虐待され続けた幼児の症例が紹介されていたが、どんなにくすぐられても決して笑顔を見せない子供や、一瞬とも人と目を合わせようとしない子供など、母親の愛を感じたことがなく、抱かれたこともない悲運の子供のようだ。赤ちゃんの時に、いくら泣き叫んでも親が無視し続けると、このような子供になるそうだ。本能的に泣くものだとばかり思っていたのだが、親が無視し続ければ、あきらめてしまい、泣かないとてもおとなしい赤ちゃんになってしまうらしい。怖い話だ。やはり赤ちゃんは元気に泣き叫びながら成長するものなのだ。この泣かない赤ちゃんが、能面のような顔で、人と目を合わせない子供に成長し、学校で陰湿ないじめを繰り返し、大人になって子供をつくって、また自分がされたと同じように子供を虐待する輪廻の世界を想像して、うんざりしてしまった。勉強もせずに、外で友達と遊び廻るわが愚息には、今のところ不登校やいじめの話は無縁そうだが、子供の世界もどんどんと大変な時代がやってきているようだ…(