■よりみち~編集後記

 


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更新日2006/07/07


1,200億円の興行収入を記録している『Mission Impossible 』の第3弾『M:i:Ⅲ』(J.J.エイブラムス監督作品)を観てきた。主演のトム・クルーズはそれほど好きな役者ではないのだが、TV番組の「スパイ大作戦」の時代からのミッション・インポシブル・ファンとしてはチェックしないわけにはいかない。おまけに、今回の第3弾の舞台が上海ということで、早くも中国本土での上映は無期延期になるとか、一部カットして上映可能になったとか、かなり中国を刺激した内容らしいというニュースにも興味が高まったわけだ。それにしても、テーマ音楽だけを聴いてぞくぞくするのはこの「M:i」と「007」シリーズぐらいではないだろうか? でも、3作品とも観たことになるが、なぜイーサン・ハント役がトム・クルーズでなければならないのだろう? 決して大根役者ではないし、スタントも使わずにがんばってるらしいし、超有名なカリスマ俳優なのは分かるが、スパイの教官をやる男にどう見ても思えないわけだ。これは「Eyes Wide Shut」(スタンリー・キューブリック監督作品;1999年)でも同じだったが、トム・クルーズが主人公の内科医を演じていることに違和感があって、せっかくのキューブリック最後の作品が私にとっては残念な作品になってしまった。誰が見ても医者のキャラクターじゃないと思うのだ。たとえば、ジョニー・デップとかブラッド・ピットのイーサン・ハントの方がよほどしっくりすると思えるのだが・・・。『M:i:Ⅲ』のストーリー自体は3作品の中で一番よくできているかもしれない。2時間たっぷりとスリルを楽しませてくれる作品になっていて、この調子でさらに続くのだろうなという余韻を残していた。問題の上海の描き方は、なるほどこれでは中国政府は気分が悪かろうという内容だった。でも思い出してみると、これはその昔、日本も同じ扱いを受けていたことなのだ。アメリカ人のオノボリさんから見たステレオタイプの中国人、中国人の生活、中国の下町、何年前の話か分からなくなる時代設定や香港との混同など、これはちょっと昔のアメリカ映画に登場する東京や大阪の光景と同じで、江戸時代と昭和を混同していたり、日本と中国が混同されて表現されていた頃があったが、まさにそんなことが今回の上海の描写にあったようだ。日本なら笑って済ますか、冗談きついなという小言で済んでしまう内容だと思うが、やはり中国はプライドが高いようで、気に入らない部分はカットしないと上映させないようだ。さすが、言論統制がしっかり実行されている国である。結論として、『M:i:Ⅲ』はどうだったかというと、2時間びっしりと楽しませてくれたことは確かだが、映画館を出たとたん、ミッション指令後に消去されるテープのようにストーリーが消えてしまった。映画というよりはアクションゲームを楽しんだ感覚に近いかもしれない。最近、この手のゲーム感覚の作品がアメリカ映画に多すぎる感じがするのだが…。(K

 

 

 

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