■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2006/08/04


軍事費のことを調べてみて驚いた。アメリカがダントツに多いことは想像していたが、その膨大さにある意味感動した。アメリカが国連など問題視していない理由が分かった。2005年度で、世界の軍事費の総額が年間1兆1,180億ドルだという。日本円にして127兆4,520億円という数字である。そのうちのアメリカの軍事費は5,071億ドル(約57兆8,000億円)と世界の約45%を占めているわけだ。2位のイギリスはというと、576億ドル約6兆5,600億円)なので、話にならないくらいの大差でアメリカがダントツの1位なのだ。ちなみに日本は453億ドル5兆1,600億円:5兆円は多すぎないのか。世界第4位というのもいかがなものか)。世界的な軍縮傾向が進む中で、ブッシュ政権以来アメリカの軍事費は増大する一方。日本の国家予算が年間80兆円を超えているが、アメリカはその70%以上の予算を軍事費につぎ込んでいることになる。アメリカの意識としては、国連=アメリカ合衆国なのだろう。確かにアフガンでもイラクでも、すべてアメリカ主導で国連が動かされ、それにEUや日本が黙認しているだけのような気がしてくる。年間127兆円というお金が軍事費という名の戦争経費で費やされているのが現実である。そのお金の半分でもアフリカやアラブやアジアの最貧国の支援に回せないのだろうか。そうすれば、今起こっている戦争のほとんどが回避できるのではないかと思える。国家間紛争が決して貧困だけで起こっているわけではないことは理解しているが、その根底には必ずと言ってよいほど経済的な問題が根強くあり、それが宗教的な闘争に転化されたり、若者が洗脳されたりする土壌を作り上げていることも事実である。「同情するなら金をくれ!」というヤツである。ビンラディンのアルカイダにしても、アフガンのタリバーンにしても、末端の兵士は家族を貧困から救い出すために、この構図を変えようと、アメリカ帝国主義打倒をめざしているわけで、貧困の格差が狭まらない限り、いくらテロリスト撲滅などとブッシュおじさんが叫んでも、次から次へとテロリストは増強され、確実に兵士が養成されていくだけだろう。右巻きで武闘派の人はどうもこの論理が理解不能のようである。イスラエルもこの右派とアメリカのネオコンおやじたちとが結託して手がつけられない状態になってきた。あるジャーナリストは、今回の中東戦争は、国連という名のアメリカ軍をレバノン南部にイスラエルを守る衛兵として駐留させるために完全にしかけられたもので、イスラエルとしては多国籍軍ではなく、唯一信頼できるアメリカ軍に駐留させるための派手なパフォーマンスなのだと分析する。確かに、国連軍を停戦のために派兵する動きがあるが、EU諸国はすでに及び腰となっていて、中国やカナダなどはすでに国連監視軍が攻撃され犠牲者も出ており、さらに派兵する雰囲気ではない。国連としてはアメリカ軍に要請するしかなくなり、それを待っていたようにレバノン南部にアメリカ軍が国連の旗を持って入り込み、ヒズボラそしてシリアやイランを牽制しながら、イスラエルのパレスチナの囲い込みを護衛することになるかもしれない。ただ、このシナリオに抜けているものがある。国際的な孤立と第二のパレスチナ地区がレバノンにも生まれるということだ。アメリカ人とイスラエル人の共通している点がある。どちらも先祖代々の歴史が刻まれた土地を持っていない点である(これは北海道生まれの私も同様かもしれないが、土地への執着が存在しないのだ)。土地への執着は怨念となり、呪いが込められた場所になる。イスラエル西岸やガザ地区などはその呪いが充満しているから紛争が絶えないわけだ。そんな場所がレバノン南部にも増えるのかもしれない。こんなことなら、もう国連なんぞ必要ないのではないだろうか…。(

世界の軍事費(2005年)
1位 米国     5,071億ドル
2位 英国      576億ドル
3位 フランス    541億ドル
4位 日本      453億ドル
5位 中国      443億ドル
6位 ドイツ      358億ドル
7位 イタリア    320億ドル
8位 ロシア     288億ドル
9位 サウジアラビア 254億ドル
10位 インド     237億ドル

世界の武器輸出(2005年)
1位 米国      185億ドル
2位 ロシア      45億ドル
3位 フランス     43億ドル
4位 英国       20億ドル
5位 ドイツ       8億ドル

<ストックホルム平和研究所(SIPRI)資料>

 

 

waragutsu
■猫ギャラリー ITO JUNKO