■よりみち~編集後記

 


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更新日2004/08/19


映画『サンダーバード』を観てきた。その昔から子供だけでなく大人までファンが多い人形劇の実写版だ(オフィシャルサイトはこちら)。最近のCG技術の恩恵によって実現できた作品だと思える。以前から実写版ができてもよいのにと思っていただけに、期待が大きかった。でき上がった作品は、オリジナルにかなり忠実に再現されており、オジンのファンには懐かしく、初めて観る子供たちでも十分楽しめると思えた。ただ、残念ながら、サンダーバードの歴史や国際救助隊の生い立ちなどの説明がないので、初めて子供に見せるには、事前のレクチャーが必要かもしれない。このサンダーバードは1966年にNHK総合TVに初登場したシリーズの人形劇で、『ひょっこりひょうたん島』と同様、私が小学生の頃から好きだった作品だ。ひょうたん島の人形と比較しても、サンダーバードの動きはリアルで、顔の表情や動作、そして何より車やロケットなどのメカ系がやたらリアルなつくりなので、メカ好きの子供たちを虜にしたのだと思う。特に、サンダーバードの活動の拠点となる南太平洋上に浮かぶ絶海の孤島トレーシー・アイランドがとても魅惑的で、当時は本気で探したいと思ったものだ。これが40年近く前につくられた作品ということにも驚く。まるで、現在問題になっているテロリストとの戦闘や石油のパイプラインの火災などの大災害のテーマも多く、かなり予言的な部分も多いのだ。残念なのは、40年近くも前から発想としてあるにもかかわらず、この国際救助隊(INTERNATIONAL RESCUE ORGANIZATION)という組織が未だに地球上に存在していないことだ。せめて組織だけでも国連あたりにできてもよさそうに思うが、政治的になのか、予算的になのかまだ形すらでてきいない。今現実に起こっているイラク戦争などに国連のサンダーバードが派遣されて、市民の救出やパイプライン火災の消火などに活躍してくれたら、どんなに世界中から評価されるだろう。子供の考える夢物語として片付けることは簡単だが、サンダーバードのように人命救助が最優先されることが国連の基本だったはずだ。いま、その国連の基本が国家間の利害やしがらみなどで揺らいでしまっているように思える。子供たちの教育のためにもこの実写版の「サンダーバード」はシリーズ化して欲しい。ついでにトレーシー・アイランドもリゾート用のイミテーションでよいから南太平洋のどこかの無人島に造ってもらいたいものだ。サンダーバード・ツアーで世界中から観光客が集って大成功するのでは……、どうもすぐにオジは儲け話とかで、せっかくの夢をつぶしてしまう傾向がある。「緊急要請! バグダッドへ出動せよ! イラクの市民を救え!」「了解! サンダーバード2号! GO!」。(

 

 

 


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