■よりみち~編集後記

 


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更新日2004/09/09


イラクの戦闘はやはり泥沼化してきているようだ。フセイン政権打倒のための侵攻だったはずだが、いつの間にかアメリカ進駐軍との内戦に発展して、フセインのことなどどこかに置き忘れてしまった感がある。今日9/8のニュースで、ついにアメリカ軍の兵士の死亡が1,000人を超えたと発表された。戦争終結宣言時には百数十名だった戦死者が、治安維持のために800人以上が死んでいるわけだ。イラク国民をフセインから開放するために戦場に向かった兵士が、そのイラク人から早く出て行けと罵られ殺されているという現実をどう理解したらよいのだろう。アメリカの良心と呼ばれる偏見に満ちたご都合主義や傲慢な合理主義への反発がテロリズムの標的なのだと思える。テロの撲滅など永遠に不可能なはずだ。どんなに理想的な国家が生まれようとも、人それぞれが個性があり感情や性格が違うように、マイノリティは必ず生まれてくるし、それが正常な社会なのだと思える。そのマイノリティの意見や考え方を尊重して、成功してきたのがアメリカ合州国だったはずなのだが、対イスラムに関してだけは大きな偏見が存在するようだ。イスラエルとの密接なつながりやユダヤの陰謀とかを指摘されるように、アメリカの動きは常軌を逸している。先日、アメリカの友人と話をしていて驚いたことがある。アメリカの反戦運動やブッシュ批判をしているのはほとんどがベトナム戦争を知っている中年以降の人たちで、若い学生層はブッシュ肯定派が多く、イラク侵攻にも賛成している人が多いと言うのだ。アメリカの若者は当然反戦派だと思っていたのだが、ちょっと違ってきているようなのだ。ベトナム戦争を知らない世代には、その悲惨な結末の伝承がされていないのかもしれない。さらにアメリカ寄りの一方的な報道しかされていない国内状況も大きく影響しているようだ。いくらムーア監督が「華氏911」で主張しても、民主党を応援するための馬鹿げた中傷程度にしか取られないというのがアメリカの現実なのかもしれない。アメリカナイズされている日本の若者たちもひょっとしたら…と思うと、ちょっと怖くなった。(K

 

 


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