■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2008/09/11


最近の日本の政治状況は、海外からどのように見えているのだろう? 1年ごとに変わる首相の座、それも自らギブアップ宣言して、すべてを放り投げて、後はうまくやってくれと、他人事のような発言でマスコミから姿を消し去り、次は私の番だと嬉々として名乗りを挙げて、私に任せればすべてうまくやってみせると浮ついた公約を並べる次期総裁候補たち。またいつもの自民党パターンを見せられる我々としては、「いいかげんにせんかい!」と言いたくもなってしまう。諸外国からは、たぶん金太郎飴のように誰に首相が変わっても、また同じパターンに見えて当然だろうし、また1年後には違う顔になるのだからと、本気で日本と議論しようなどと考える国はないだろう。今後、国際社会の中でどんどんと孤立していく日本の姿が想像される。これだけ政治が停滞し、疲弊している姿を露呈しているにもかかわらず、それに対抗する野党勢力がなぜ力を発揮して、台頭してこないのかこれまた日本の不思議なところなのだが、一番の原因は、野党とはいっても、ほとんどが元自民党出身者で、同じ穴の狢(むじな)に見えてしまうという悲しい現実があるからだろう。明日になればどちらの党に寝返ってもおかしくない人たちばかりが、政治という世界でパフォーマンスしているだけのように思えるわけで、彼らの最大の関心事は選挙に勝ち抜いて国会議員を続けたいというだけなのかもしれない。
この混沌とした政治状況を一番喜んでいるのは、最近、批判が集中し、様々な悪事や無駄遣いが露呈しているキャリア組と呼ばれる官僚たちのはずだ。こんな状況では、明治時代から構築されて、世界大戦後も脈々続いてきた日本独自の官僚システムを変革することはとても無理だろう。結局、官僚が黒子として支えなければ何も動かないシステムになっているわけで、解体するどころか、より巧妙に政治家が操作されて官僚の都合のよいシステムに看板だけが書き換わるだけのような気がする。かつて省庁の再編で、名前だけが変わり、厚生省と労働省が統合されて厚生労働省という名前になったことを思い出せば、その実態がよく分かるはずだ。統合して何が変わったのだろう? 人数も同じ、顔ぶれも同じ、ただ単に部署名が変わって経費がかかっただけではないだろうか? 天下りも巧妙化するだけで、公益法人という名の官僚による官僚のためのマネーロンダリング・システムもほとんど無傷で生き残っているわけで、このシステムの息の根を止めて悪い血や膿を出し切らない限り日本の未来は暗い。これを今まで官僚と癒着してきた自民党ができるとは思えないわけで、それをやるしかないとマニュフェストに入れてきた民主党が本当にできるのかかなり眉唾ものだが、「できるものならやってみろ!」と思う今日この頃である。(

 

<毎日新聞 2008年9月9日 東京夕刊より抜粋>
増田寛也総務相は9日午前の閣議で、2008年度公益法人白書を報告した。国が所管する6,720法人のうち、国家公務員出身の理事がいるのは約半数の3,350法人。所管官庁から天下りした理事がいる法人は3,054法人で、全体の45.4%を占めた。公益法人の全理事144,482人のうち、国家公務員出身の理事は6.4%の9,288人。うち8割以上の7,584人が所管官庁からの天下りだった。
所管官庁から天下りした常勤役員のいる1,918法人について平均年間報酬額をみると、▽400万~800万円未満=578法人▽800万~1,200万円未満=483法人▽1,200万~1,600万円未満=448法人。2,000万円以上も10法人あった。

 

 

 

 


■猫ギャラリー ITO JUNKO