■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

更新日2003/09/18


ネットと連動したコンピュータの時代がやってきて、コピー機が必要なくなるだとか、書籍がデジタル化するとか、新聞も宅配がなくなるとか、将来は確実にペーパレス時代になっていくと言われてきていたが、どうもこの予測は甘かったようだ。確かにメールの普及で会社などでのFAXの使用頻度は減ったし、請求書などのメール添付は常識となった。ネットのニュース速報を読むので、新聞の販売部数は大幅に落ち込んだし、書籍も全然売れなくなっている。でも、世界的に見ると、紙の使用量は減るどころか増加しているようで、相変わらず木の伐採は続き、着実に緑の森林は減少しているそうだ。この予測がはずれた理由は、紙に印刷されたものがみんなが好きだからということに他ならない。ちょっと大切だと思う文書データに関しては、パソコンに保存してあるにもかかわらず、紙にプリントアウトして保存しておきたくなる傾向が誰にでもあるようだ。どうもデジタルデータに対する信頼性がまだまだ定着していないことや、昔痛い目にあったトラウマなのかもしれない。デジタルデータの場合、理不尽なトラブルで一瞬のうちにきれいさっぱり消え失せるという苦い経験がある人も多いのではないだろうか。最悪の場合はパソコンのハードディスクごとデータを失うこともあるわけで、いくらバックアップをしておいても、最終的なデータはプリントアウトしたものしか残っていないというケースがたくさんある。そして、印刷された文書とデジタルで読む文書とでは頭に入る回路が違うのではないかと思えるのだ。特に書籍の場合は、本のサイズやフォント、レイアウトなども影響しているだろうが、長編歴史小説をデジタルではとても読む気になれないのは事実だ。紙に変わるデジタルインクやデジタルペーパーが構想され、すでにプロトタイプは登場しているので、そのクオリティが紙を超えるようになれば、瞬時にデジタル化が加速するだろうが、この紙の印刷だけはかなりこだわる人がいるはずで、そう簡単にはデジタル化が進まないように思える。デジタルで読むスタイルと紙で読むスタイルがこれからさらに差別化されてくるように思える。個人的には、携帯電話の端末で長編小説を読む時代にはなってほしくないと思っているのだが…。(K