■よりみち~編集後記

 


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更新日2008/09/18


「汚染米」「事故米」、こんな言葉があったことを今まで知っていた人はどのくらいいるのだろう。でも、農林水産省関係の人は誰でも知っている言葉で、仲介業者にとっては日常的な言葉で業界用語となっていたことを知った。今回の事故米流出問題は、どう考えても業界では暗黙の了解というか、知る人ぞ知る“パンドラの函”的な事実だったのではないだろうか。最近流行している内部告発で表面化して、農水省もこれ以上隠し通すことができなくなって、公表せざるを得なかった問題だということが、農水大臣の事件発覚後の発言でも読み取れる(この太田大臣も運のない人だ。それも以前から問題発言の多い人だったわけで大臣の器じゃないということだろう。親戚の福田首相もこの人の対応のまずさに辞任を決意したというウワサもある)。彼は、「人体に影響がないことは自信を持って申し上げられる。だからあんまりじたばた騒いでいない」と発言したのだ。これはその時点での農水省内部の考え方そのもので、そんなに騒ぐことではないが、一応食用を禁止した事故米を不正に食用に流した業者が発覚したので、黙って見過ごすわけにもいかないし、しょうがないので公表します、というのが農水省の見解なのだ。その証拠に、当初の農水省幹部の発言では、農水省にはこの事件の責任も落ち度もなく、問題があるとすれば調査を何度もやったが見抜けなかったことで、事故米を食用に転売した業者の責任が問われる、と日本の官僚特有の“他人事発言”を繰り返していたわけだ。それが調べれば調べるほど、農水省と仲介業者との癒着構造や知らぬふりの実態が表面化してくると、これまた日本の官僚の得意技である“手の平返し発言”で農水省の管理の杜撰さを反省し、保障問題にも迅速に対応するという変わり身の早さで対応しはじめている。
実際のところ、事故米の食用転売に一度手を染めてしまえば、これはもう麻薬と同じだろう。通常の米の何十分の一で購入したものが、仲介から仲介とロンダリングされ、罪の意識までもがロンダリングされ、利益は10倍以上というまるで魔法の米になってしまうわけで、農水省の認識にもあるように、“人体に影響がないことは自信がある”のだから、誰もこの不正システムを止められる人がいなかったのだ。この構造は何かに似ていると思える。そう、官僚の天下りシステムがこの不正構造の基本にあるのだ。業者との癒着、裏システムによる膨大なる利益の供与、麻薬体質、誰も止められない、そして損をし被害を被るのは国民で、使われるのは血税と、政府と業界との癒着が根本的な腐敗構造を生み出しているわけだ。今回表面化したのはこの事故米だが、同じようなことや天下り構造が生み出している裏システムが腐るほどあることは間違いない。これは担当者の頭を挿げ替えるだけのトカゲの尻尾切りでは全く効果などあるはずがなく、また次の儲かる裏システムが開発されるだけなのだと思える。以前から言われていることだが、各省庁の大臣や次官はテストで選抜し、少なくとも官僚と同程度の専門知識がなければ任命されないくらいにしなければ、日本の政治は「CHANGE」などありえないだろう。(K

 

 

 

 


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