■よりみち~編集後記

 


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更新日2004/09/23


最近ちょっと疲れぎみなのか、癒し系の映画が観たくなった。レア・プール監督作品の『天国の青い蝶』(原題:The Blue Butterfly)とアラステア・フォザーギル&アンディ・バイヤット共同監督・脚本作品の『ディープ・ブルー』(原題:DEEP BLUE)を観た。「天国の青い蝶」を観る気になったのは、ポスターに名優ウィリアム・ハートの姿を見たからだ。久しく彼の出演作品を観ていないなと思って、急に観てみたくなった。昆虫学者と少年の物語というだけしか前知識を持たずに出かけたが、実話を再現した映画だった。10数年前、国際的に知られる昆虫学者ジョルジュ・ブロッサール氏と末期の脳腫瘍を患うカナダの少年の話で、少年の最後の望みで、この世でもっとも美しい神秘の蝶「ブルーモルフォ」をメキシコのジャングルで捕まえる旅に出かけたというストーリーだ。その昆虫学者の役をウィリアム・ハートが演じており、昆虫学者というイメージではないが、結構様になっていた。さすが名優である。ロケ地はメキシコではなくコスタリカだったようだ。ジャングルは本物で、実際の撮影はかなり大変だっただろう。映画の出来としてはいまひとつに思えるが、なんともそれが実話ということがインパクトがあって、現実感が伝わってくる。結末をばらしてしまうと、数ヶ月の命と宣告されていた少年の末期脳腫瘍がこの旅を終えて帰る頃にはきれいに消えてしまっていたのだ。少年はいまでも元気に普通の生活をしているという。ジャングルでの極限的な体験があって、歩くこともままならなかった少年が歩けるようになり、脳の腫瘍も消えてしまったというのだ。信じがたいことだが、確かにこのような奇跡の体験が数多く報告されているわけで、科学の枠を超えた現象があることは否定できない事実だろう。もう一本の映画「ディープ・ブルー」も超常現象のような映像がふんだんに出てくる映画だった。撮影7年、撮影地200箇所、膨大な時間と労力と忍耐力がこの映画を作ったことは明らかだ。海に生きる生物をすべて記録したいという欲望、これほどドラマチックな生態が日々繰り広げられている偉大な海への賛歌、その撮影のすごさにただただ脱帽である。どうやってこの映像を撮ったのだろうと思うシーンの連続で、プロの仕事を感じた。NHKなどのドキュメント・ファンにはたまらない映画かもしれない。私の場合、ちょっと問題があった。連日の寝不足(そう、あのスポーツイベントのせいです)のため、壮大なクラシック音楽と環境ビデオ的な美しい深海のシーンが続き、心地よい陶酔感と一緒に睡魔が押し寄せ、途中の記憶が何度も消えてしまう現象が起こってしまったのだ。素晴らしい映画ということは断言できるものの、途中何箇所か記憶にないという不思議な映画になってしまった。この映画を観るときには、しっかりと睡眠をとった午後くらいに観ることをおすすめしたい。(

 

 


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