■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2005/09/29


最近と言っても、もう随分前からの話だが、日本の「ゆとり教育」というものに反対する人が多くなっている。なぜ騒いでいるのかなと思っていたのだが、典型的な奥さんお願い型ダメオヤジの私でも、ちょっとこれはないだろうと日本の教育システムに憤りを感じてしまった。今頃騒いでも遅すぎるのだが、子供を持たない人はもっとこの現実を知らないわけで、敢えて報告したい(それほどたいそうなことでもないのだが…)。愚息は中学1年生なのだが、友達が通っている塾に行きたいと言いだして通い始めたのだが、夏休み前に高校進学のガイダンスが早々とあったようで、塾の先生がきっぱりと言ったそうだ。「学校の勉強だけをしていても目指す高校には絶対合格できない。学校の授業から出題されるのはせいぜい5%で、塾で受験用の勉強をしっかりやるしかない」ということを言われたらしい。「おいおい、ちょっと待てよ。いくらなんでも5%はないだろう。それじゃ学校なんか行かないで塾だけ行けばよいということ?」と聞くと、「学校は内申書のためにちゃんと授業を聞いたふりしてなきゃいけないじゃん」と、我が息子から諭されてしまった。中学1年でこんなに受験中心の考え方でよいのだろうかと家人に助けを求めたが、軽く「悲しいかな、それが現実なのよね」と、あまりに無知で、時代遅れのダメオヤジは冷笑されただけだった。家人の話などを聞くと、どうも「ゆとり教育」なるものが提唱されて以来、学校と塾との乖離現象が大きくなって、学校は受験とは無縁の教育機関になりつつあるようだ。この現象は今始まったことではないし、受験戦争が低年齢化しているだけのことなのだろう。でも、このような受験戦争をもっとゆるやかにして本来の教育のあり方に近づけるために「ゆとり教育」が提唱されたはずなのが、学力低下ばかりが問題となり、結局ゆとりとは名ばかりの詰め込み教育に拍車がかかっただけのようだ。「ゆとり教育」の恩恵を受けたのは、休みが増えた学校の教師だけではないだろうか。「ゆとり教育」の弊害で一番私が驚いたのが、昼食の時間のことだった。カリキュラムでは12:45~13:25が昼食・昼休みとなっていて40分なのだが、昼食は15分間・昼休みは25分間と決まっている(横浜市だけかな?)。それも4校時がぴったり終わらない場合は、昼食を10分で食べなければならないと言うのだ。ゆとり教育のため時間配分の無理が食事時間に影響しているわけだ。確かに日本人の食事時間は欧米諸国に比較すると各段に短いが、軍隊でもあるまいし、中学生に15分間で食事を味わって食べることは教えられるのだろうか。よく食事は文化だと言うが、これからの日本には少なくとも食文化は期待できそうもない。少子高齢化社会に拍車がかかっている現在、未来を背負うことになる子供たちの教育が最重要課題のはずだ。少なくとも受験戦争を体験した我々の世代が言えることは、受験勉強がその後の人生に役立つことはほとんどなかった(少なくとも私は)ことで、そのエネルギーを違うことに生かした方がはるかに有意義ではないかと思うのだが…。(K

 

 

 

 


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