■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2008/10/16


最近の世界経済のキーワードを探ってみると、「原油価格」「資金運用」「イラク戦争」「不動産投資」「サブプライムローン」「投資ファンド」「BRICs(ブリックス)」「」バイオ燃料「食料危機」「デリバティブ」「実体経済」などが挙げられるのだが、キーワードの多くが「マネーゲーム」がらみであり、オイルマネーと不動産バブル、そして食料危機がリンクして世界経済が揺れ動いている姿が垣間見えてくる。9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻を契機として、なだれのように起こりつつある金融破たん危機は、世界中にマネーゲーム経済の危うさと恐ろしさを改めて教えてくれている。連鎖的に広がる金融危機に対する各国政府の緊急経済安定化対策に投入する金額の大きさは、もう数字の概念を変えてしまうほど巨額なものになっており、世界規模では何百兆円になるものやら見当がつかない状態である。たとえば、10月3日にやっと成立した米国政府の7,000億ドルの公的資金投入もまだまだ序の口で、これからさらに膨らむころが予測されているし、ヨーロッパそして日本もこれからじわじわと影響が深刻化してくることだろう。不思議なのは、これだけの公的資金を投入しても誰も幸せになれないことだ。バブルの崩壊を経験した日本でもそうだったのだが、破綻した金融を救済するために巨額の公的資金を湯水のように使いながらも、結局は企業はバタバタと倒れ、債権だけが残されただけで、結局、借金の穴埋めだけに費やされただけだ。お金では真の幸福は買えないということであり、世界的に経済システムを変えなければ、また同じようなバブル経済を繰り返すだけのように思えてくる。
チベットとインドの間にある辺境の仏教国ブータンにこれから世界が目指すべきシステムのヒントがあるように思える。1972年にブータン国王のジグミ・シンゲ・ワンチュクが提唱した「国民全体の幸福度」を示す”尺度”国民総幸福量(Gross National Happiness GNH)という考え方がそれである。人は金銭的・物質的豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさを目指すべきだとする考え方で、実際にこの考え方が国民に広く受け入れられ浸透しているから驚きである。もちろん、国民のすべてが幸福と感じているとは思えないが、少なくともブータンに住む人々にとっては、お金が幸福につながるとは考えていないことは確かで、外見的には貧しくとても裕福とは思えない生活をしている人たちも笑顔で、「自分は今とても幸せと感じている」と話しており、単なる洗脳教育の産物とは思えない。確かに仏教的な土壌があり、仏教思想が深く浸透していることは確かだが、考え方次第で人はいつでもどこでも幸せなれることを実践しているユニークな国である。まずは証券会社や投資ファンド会社、そして銀行の役員研修をブータンで実施することを法制化してはどうだろう。かなりユニークな銀行や証券会社が生まれてくると思えるのだが……。(

 

 


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