■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2004/10/21


先週は最近のシルバーパワー?(老人とはとても呼べないし、熟年というのもちょっと似合わない。もっとよい言葉はないものだろうか)のすごさに驚かされた。人間年齢では決して判断してはいけないのだと思えた。どちらもTV番組なのでご覧になった方も多いと思うが、一つは『熟年ラクダ隊タクラマカン砂漠を行く』というNHKの秘境シルクロードシリーズの一本。もう一つはあのヨットの堀江謙一氏の「SUNTORY マーメイド号」で単独無寄港世界一周のスタートまでのドキュメント番組だ。ラクダ隊の方は、平均年齢63歳の日本人11人の普通の叔父さん・叔母さんたちが73日間にわたり、かのヘディンが遭難しかけた中国のタクラマカン砂漠の北緯39度線を横断するドキュメントで、隊長はなんと78歳なのだ。60歳以上の高齢者が団体で海外旅行というだけで大丈夫かな思うわけだが、彼らはなんと厳冬のタクラマカン砂漠を徒歩でラクダ隊とともに横断してしまったのだ。夜には零下30度以下にもなり、時には砂嵐が数日続くこともある極限の世界だ。73日間歩きつづけるだけでも過酷である。それも水のない砂漠を2ヶ月半歩き通した体力と気力に脱帽である。目的は達成感を味わうこと。まるで修行僧のような旅だが、その達成した後のたくましい笑顔が印象的だった。何人かは体力の問題やスケジュールの問題などで脱落してしまったが、男女4人づつ8人が最終目的地に到達して、しみじみと感動を味わっている姿を見ると、毎日千歩も歩かない自分の生活がこれでよいのかと思えてくる。その昔、インドのタール砂漠で1泊2日のキャメルサファリに連れ合いと二人で出かけたことを思い出した。インドの最西端の鉄道の終着駅であるジャイサルメールから3頭のラクダと二人のラクダ使いと一緒に砂漠ツアーにでかけたのだが、たった一日ラクダに乗って砂漠を移動しただけで、尻の皮をむき、暑さでぐったり、翌日の夕方にジャイサルメールの街に戻ったときにはもうラクダは勘弁と思った。ただ、砂漠に落ちる夕日の美しさやラクダ使いの叔父さんが焼いてくれた特製チャパティとカレーの味、そして砂漠から昇る朝日の神々しさの体験は忘れることができない砂漠の思い出だ。自分も78歳でキャメルサファリにもう一度挑戦するぐらい元気でいたいと思った。「大平洋ひとりぼっち」で有名な堀江さん(知っているのは中年以上なのかもしれないな)は、冒険家と呼ばれてもいるが、私はそうは思っていない。彼は冒険とは思っていないはずだ。ただ、ヨットが人生になった人なのだと思う。今年64歳だそうだが、彼ほど印象が変わらない人は少ない。1962年の「大平洋ひとりぼっち」の若かった頃の堀江さんと髪の色が白くなっただけで、ほとんど変わっていないように見える。青春時代をそのまま維持し続けているように私たちには見える。三浦雄一郎氏も同類の一人だろう。自分の好きなことに人生を賭け続けている人なのかもしれない。今回は30年ぶりの単独無寄港世界一周へ挑戦するとのこと、是非日本のヨット界のためにも無事の成功を祈りたい。ネットを使って堀江さんのヨットの現在地が瞬時に分かり、航海日誌がリアルタイムで読めるというのも時代の流れを感じる。ラジオしかなかった時代の航海を思えば、今はかなり心強いかもしれない。(K

 

 

 

 


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