■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

更新日2003/10/23


「のらり」で連載中の杉山さんのコラム(第15回:寅次郎の故郷-京成金町線)にも登場する寅さんの町「柴又」に先日初めて行ってきた。都心からは何度か乗り換えが必要で、なかなか行きづらい場所にある街だ。浅草方面に出かけると、柴又にも足を伸ばそうと思うのだが、いままで実現できなかった。杉山さんのコラムを読んで、やはり一度行ってみたいと思った。実際の柴又はなるほど寅さんのふるさとにふさわしい街だった。ここが東京かと思えるほど、のんびりしていて、時間が止まっている感じがした。まるで映画のセットのような古い料理屋さんでうなぎを食べ(川魚料理が名物のようだ。江戸川が近いからだろうか)、高木屋さんの草だんごをお土産に買った。帝釈天参道を歩くが、思っていたよりも道幅が狭く、浅草・雷門の参道よりも狭い感じで、小さなお店ぎっしりと並んでいるので、なおのこと映画のセットのような雰囲気だ。寅さん映画には欠かせない川原の土手近くに寅さん記念館がある。なつかしの寅さん映画のセットがそのまま保存されていたり、「とらや」全体のミニチュアの模型があったり、寅さんのカバンの中身が公開されていたり、寅さんファンにとっては感激の展示がたくさんある。その記念館のとなりに葛飾区が管理する大正時代からの資産家の家「山本亭」があった。ちょっとのぞいてみるだけのつもりだったが、滝まである見事な日本庭園があって、抹茶もいただけるという粋なはからいもあって、つい長居をしてしまった。大正ロマンの香りただよう日本家屋のシンプルな美しさがあって、なかなか居心地がよかった。昭和63年まで実際に使用されていたとのことで、価値の分かる人々が代々守り抜いてきたからこそ、いまの姿が残されていると思うと、寅さんもそうだが、残していくこと、守っていくことも、立派な文化なんだなと実感した。(