■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2007/11/01


ポッドキャストの番組で『ラジオ版 学問のススメ』という私のお気に入りプログラムがあって、通勤時にiPodで時々聞くのだが、久々にウンチク?のある話が聴けた。寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学の権威である東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授へのインタビューだったのだが、なんともユニークですごい先生である。藤田先生曰く、日本人の潔癖症が病気を作っているというお考えだ。地球上には不要なものなどなく、日本人が嫌う「バッチイもの」と呼ばれるバイキンや汚物、そして寄生虫なども決して不要なものではなく、それを駆除しようとしていることが不幸を招いていると主張する。最も分かりやすい例が「アトピー」だと言う。戦前の日本にはこのアトピーや花粉症などという病気は皆無だった。発生が記録されているのが、ちょうど戦後の寄生虫予防運動が活発になって、日本人から寄生虫が駆除された頃と同時に発生しているのだと言う。それまで、65%の日本人が寄生虫を体内に飼っていたそうで、ほぼ同じ比率で平安時代から昭和の時代まで、日本人の生活に寄生虫が密着していたのだが、寄生虫によって死に至ることはまれだった。寄生虫にとって人間の身体は自分の身を守るものであり、病気などなっては困るわけで、健康維持のために役に立っていたのだそうだ。その寄生虫を虫下しなどで駆除してしまい、1960代には5%まで減らしてしまった。そこから子供の定番の皮膚病であるアトピーや花粉症などのアレルギーが蔓延するようになったそうだ。バイキンに対する抵抗力の欠如もアトピーの原因ともなっているそうで、身体全体についている皮脂がバイキンから身を守る働きをしているが、日本人の場合、毎日お風呂に入り全身の皮脂を石鹸やシャンプーですべて洗い落としてしまうので、それだけ抵抗力が弱くなっているそうだ。藤田先生は、毎日お風呂に入ってもよいが、石鹸で洗うのは3日に1回くらいで十分だと話していた。藤田先生には二人の娘さんがいて、それぞれ子供が生まれたときに先生が必ず守るようにお願いした二つのことは、一つは「床に落とした食べ物を食べさせること」。二つ目は「食事中に子供の足の指もなめさせること」だったそうで、そのおかげで、アトピーもなく病気もしない丈夫で元気な子供に成長したそうだ。自然界に当たり前に存在するバイキンに対して抵抗力をつけていくことが子供を育てることであり、何が危険で何が安全かをかぎ分ける力を人間本来持っているはずの力として育てる必要があるのだが、その力を今失いつつあるように感じる。鳥インフルエンザが騒がれて問題視されているが、決して駆除できるものではないし、その病原菌を必要とする生物が必ずいることも忘れてはならないと言う。トリインフルエンザウィルスは本来はカモなど水鳥に寄生するもので、宿主は発症しないが、その糞から家禽類の鶏などに感染すると非常に高い死亡率をもたらすもので、水鳥にとっては人間の寄生虫のようなもので、生命を奪うような危険はない。エボラ出血熱(ミドリザル)もサーズ(ハクビシン)などもある特定の動物に寄生していたウィルスで、宿主には発症しないが、他の動物の体内に入ると高い死亡率をもたらすもので、感染経路を徹底的に絶つことしか予防方法はないようだ。この藤田先生の言うことはとても説得力があるのだが、医学界や学者からは無視しつづけられているらしい。その理由というのも、バッチイものを研究している学者を信用しないという日本特有の潔癖症候群が原因しているようだから、よけい日本の学者が情けなくなる。誰も信用してくれないからなのか、藤田先生の考えを実証するため自ら実験台として、現在も体内に日本最大の寄生虫であるサナダムシ(名前がつけられていて「キヨミちゃん」と呼んでいるらしい)を飼っているとのことで、3年目だと言う。とにかくお腹がすくようで食欲がすごくなるだけでほとんど自覚症状はないそうだ。その代わりアトピーやアレルギー、そしてガンを予防する血液に換えていることが医学的にも証明されているそうだ。究極のダイエット方法ははこの寄生虫かもしれない。ヨーロッパのサナダムシは貧血を誘発するらしいが日本のサナダムシは貧血にもならないらしいのだが、すでに日本産のサナダムシは絶滅しているそうで、この「キヨミちゃん」が最後の一匹のようだ。ひょっとしたら日本人に昔から肥満した人がいなかったのは、このサナダムシなどの寄生虫を飼っていたからのかもしれない。(

 

 

 

 


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