■よりみち~編集後記

 


■更新予定日:毎週木曜日

 

 

 

 

 


更新日2006/11/16


若いということの素晴らしさは、自分自身がもう若くないと自覚したときにしか実感できないもので、これは人間の不幸な宿命の一つかもしれない。よく若いうちに何でもやっておけと先輩諸氏から耳タコ状態で言われていたことが、老いて初めてその真意が実感できるという話である。2日前に生まれて初めて「ギックリ腰」を経験した。特に何か特別の日でもないし、ごく普通の朝の出勤準備中にそれはやってきた。後から聞くとよくその姿勢でやられるらしい。靴下を履くときにいつもは腰を落としてゆっくりと履くのだが、なぜか片足立ちで履こうとしたのだ。バランスが崩れ、その時「バキ、バキ」とすごい音が背中でしたと思った瞬間、身体が固まったまま息がつまり身動きできない状態になった。頭は事の重大性を早くも認識して、身体を立て直そうとするが、身体の方がからの応答がない状態で、腰に激痛が走り脂汗が流れ出す。しばらく固まったまま動けなかったが、この状態で歩けるのかどうか心配になってきて、ようやく手をついて身体を起こそうとしたが、激痛で身体を起こすことすら困難な状態。ギックリ腰というものがこれほどまでに大変とは思っていなかった。座卓につかまりながら乳児のようになんとか立ち上がったが、これで会社なんかに行けるのかなと思った。「ギックリ腰で会社休みます」と電話するのも嫌だし、とにかくなんとか出勤してから病院に行こうと思い、やっとのことで外まで出て駅に向かって歩き出したが、歩くごとに腰に激痛が走る。特にきついのが階段などの段差だ。いつもはなんでもない階段が、とてつもなく恐ろしい山に思える。こういうことでもないと身障者の気持ちなど決して理解できないのだなどと思いながらもなんとか電車で会社までたどり着き、事情を説明して整形外科病院に行かせてもらった。病院に着くと急に弱気になって、今日はこのまま帰ろうかなという気持ちになったが、診察を受けたお医者さんから、「この状態で会社に戻って働くつもりなの?」と言われて、思わず「はい」と応えてしまった。そうしたら、「注射打っていいですか?」と聞かれたので、「いいとも!」とはさすがに言わずに「はい」と答えた。背骨の両側に2本注射してくれたのだが、病院を出る頃から段差で激痛が走らなくなり、会社に戻る頃にはかなり歩ける状態で、一日無事仕事を終え、自宅に戻った頃には、腰の痛みは消えてはいなかったが、今朝の悪夢がまるで2、3日前のことのように身体は回復していた。本人は一番分かっていることだが運動不足が原因であることは明らかで、身体は間違いなく衰え、筋肉がなくなり、関節が弱りはじめていることを自覚している。それでいて鍛えるとか体力づくりなることが昔から苦手で、3日坊主どころか2日もたない。今回の「ギックリ腰」でもう少し体力をつけなくてはと思うのだが、これから寒くなる冬に向かって運動の日課というのは考えただけでも無理に思える。来年暖かくなった考えることにしようかな…と、「分かっちゃいるけど、やめられない」。植木等は健在だろうか? 来年、80歳のようだが、無責任男は長生きのようだ。(K

 

 

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