■よりみち~編集後記

 


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更新日2005/11/03


11月1日に発生した東証のシステムダウンは、正直言って、来るべきものが来てしまった事故なのかなという感じがしている。午後13時30分からシステム復旧が完了して、午後からの商いでは今年の最高値を記録したというから、今回ばかりは結果オーライで証券会社の関係者は胸をなでおろしたに違いない。公式の発表では、原因は前日の10月31日に実施した月末処理のプログラムの一部に不具合があったことによるものとと考えられるということで、断定できないというところがちょっと不安である。これはなにも東証だけの不安ではなく、世界的なデジタル化の動き全体が同じ問題をはらんでいるということだ。今回の東証のトラブルが単なるアプリケーションの不具合が原因ということであれば、ケアレスミスによる人災で片付けられるのだが、当然のことだがハッキングによる妨害だったり、サイバーテロを狙ったクラッカーの仕業としても何の不思議もないほど、時代はもうデジタル社会になってしまっている。まさか模倣犯を募集するように「サイバーテロがありました」などと発表するとも思えないし、なんとも真相が気になるところだ。数年前にITの進化によりいずれ家庭でもホームネットワークシステムが当たり前になって、家電のすべてがIP化され、パソコンや携帯電話で家庭の設備がコントロールできる時代になると言って、さかんに宣伝されていたのだが、最近、めっきりとホームネットワークという言葉そのものが聞かれなくなったのはなぜだろう。ひょっとして、その便利さとは裏腹にある危険性に気が付いたのだろうか? セキュリティ対策の方が完全に遅れていることは間違いない。そしてこのセキュリティに関しては遅れを取り戻すことは無理なのだと思う。人間の頭脳でプログラムされたソフトに対してのセキュリティ対策を開発するのもやはり人間なのだから、永遠に追いつ追われつで対策を練るしかなく、完璧なソフトウェアというものはこの世に存在しないのだと思える。ホームネットワークなどは確かに便利だし、理想のシステムのように思えるが、悪いことを考える人々が世の中にいなければという条件付きだ。どんなに暗号技術が進んでも、デジタル化により無線で飛び交う情報が増えれば増えるほど、その情報が利用されたりする可能性が高くなってくるのだ。特に気になるのがテレビのデジタル化である。いわばテレビがパソコン化するわけで、今までのように単なる電波の受像機から、通信と一体化され、家と放送局がLANで結合されるようなものなのだ。今回のような東証のトラブルが日本全国の家庭でシステムダウンが起こるような時代が将来くるのではないだろうか。デジタル化が便利で多機能で有益なことも十分理解できるが、テレビと通信を一体化するにはもっとセキュリティ対策を国家レベルで考えなければ、とても危険なシステムになってしまう可能性があるように思えるのだが・・・。(K

 

 

 

 


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