■6月から暑い日が続く中7月3日から参議院議員通常選挙が開始されました。7月20日(日)が投票日ということで、3連休の中日の投票日というのも初めてのようで、不在者投票がすでに盛況なようです。私事で恐縮なのだが、4月に北海道から横浜市に引越しをした関係で、北海道の選挙管理委員会から早々と投票用紙が郵送されてきた。なぜに引越した先に北海道から投票用紙が届くのか不思議に思い問い合わせてみて、あまりに無知な自分にあきれた次第である。住民票を移して3ヵ月未満の場合は現住所地の選挙人名簿に登録されず、引っ越し前の旧住所地で投票するか、旧住所地に行けない場合は、不在者投票が可能という説明で、引っ越して3ヵ月しないと地元で投票できないと知らされた。まさかわざわざ投票のためだけに北海道に行くわけにもいかないため、不在者投票を申し込むことにしたのだが、郵送されてきた投票用紙と不在者投票の申請書に記入して郵送しなければならないようで、封筒を用意して切手を貼って投函とはとても面倒な作業なので、もっと簡単な方法はないかと探していたら、なんとマイナンバーカードのマイナポータル登録者はサイトから不在者投票申請ができるとのことで、早速マイナポータルから申し込むことにした。マイナカードなど何の役にも立たないと思っていたが、こんなところで活躍するとは驚きである。そんなわけで、簡単に北海道選挙管理委員会に申請ができて、早々に不在者投票キット一式が郵送されてきたので、横浜市緑区役所にある不在者投票所に行ってきた。さすがに北海道から送られてきた不在者投票キットなので、受付で3人ほどたらい回しにされ、理解している係りの人が出てきてなんとか投票できたのだが、その投票用紙は横浜からまた北海道に郵送されるわけで、なんとも大変な投票となってしまった。当然、横浜市に住んではいるが、北海道選挙区の候補者を選ぶわけで、これも何か不思議な感覚であった。
■それにしても、最近知らない間に色んな名前の新党が増えたようだ。今回の参院議員選挙公告で初めて目にする新党名もあったりするのだが、どうも右翼系の政党が増えてきていて、これもトランプ現象の影響なんだろうか。日本ファーストの参政党(日本ファーストをキャッチフレーズに使うところはトランプ便乗派なのがよく分かる)を筆頭に、日本保守党、みんなでつくる党、NHK党、日本改革党、日本誠真会など、かなり右傾向が強い政党で、時代の変化を感じる。安倍元総理銃撃事件以来、急激に安倍シンパが結集して政治にコミットしてきた感じが強くするのだが、特に気になるのが参政党の動きで、2020年4月の参院選で177万票を比例区で集めて当選した神谷宗幣が、2024年の衆院選で3議席を獲得し、地方議員も140名以上、全国組織となって今回の参院選はどこまで議員を増やすのか注目の的となっている。右派ポピュリズムであり、反グローバリズム(日本ファースト)、反ワクチン、反LGBT、反同性婚、反男女平等、有機農業(オーガニック)推進、自主憲法創憲、陰謀論やカルトの噂まで何でもありの参政党となっていて、何故にこれほど無党派層の取り込みに成功しているのかちょっと不思議なほど人気が高いのだ。党首の神谷氏の主張を聞いていると、ごちゃ混ぜ感が強く、耳障りの良い政策を並べながら、その一方で外国人排斥、LGBTや同性婚の反対、選択的夫婦別姓の反対を主張を盛り込み、明治や江戸の古き良き日本の「やまと心」を取り戻すために日本食の食習慣への回帰を主張。確かに、安倍元首相が生きていたら神谷党首に握手を求めてきただろう。この異常な人気の裏側では、神谷党首の独裁的な振る舞いが問題視されており、すでに参政党ゴレンジャーと呼ばれてきた結党当時の役員たち、武田邦彦、赤尾由美、吉野敏明は離党または除籍処分となり、代表だった松田学も辞任させられ、神谷代表の独裁化が進んでいるようだ。参政党の躍進劇が続き、国民民主党や維新の会に追いつく予測も出てきており、自公民プラス参政党の動きが今後心配されそうだ。
■今回の参院選でもう一つの注目は、都知事選で大注目を浴びた石丸伸二が代表となっている「再生の道」になるかと思っていたが、都議会議員選挙でまさかの当選ゼロという結果に終わり、参院選で候補を立ててはいるものの、あまり期待されていないようだ。日本社会民主党から比例区で立候補したタレントのラサール石井の男気が注目されたり、もはや弱小政党とは呼ばせない消費税廃止を叫び続けてきたブレのない「れいわ新選組」の次なるステップが期待されているのだが、やはり私の一番の注目は、安野貴博率いる平均年齢35歳の新鋭ぞろいの「チームみらい」である。メディアでは全く注目されていないことが寂しい限りだが、それは実績がないのだからしょうがない。しかし、前回の2024年の都知事選で全くの泡沫候補だった安野貴博が「テクノロジーで誰も取り残さない日本へ」をスローガンに、政策決定プロセスのオープンソース化、市民参加型の熟議システム、AIによる意見集約ツールの導入など、テクノロジーと民主主義の融合を目指す政策が指示され15万4,638票を獲得しており、今回の参院選で独自の政党「チームみらい」を創設し、15名の候補者が地方区と比例区に出馬している。「1%の革命で民主主義をアップデート」として、とにかく1名だけでも国会に議員を送り込み国政政党として認識してもらうことが重要なミッションだとしており、そこから永田町にAIエンジニアチームを編成して、日本の政治や行政のデジタル化の推進やクリーンな政治組織づくりに貢献したいと、これはやってもらうしかないと思うのだ。もう爺さん政治家にはAGI(汎用人工知能)もデジタル化も理解できるはずもなく、若手のAIエンジニアたちの政治参画に期待するしかないのだ。
■シンギュラリティ(Singularity)とは、AIが人間の知能を超える転換点、またはその結果として起こる社会の変化のことだそうで、AGIが2045年頃までには開発される可能性が言われてきたが、今ではAI関連企業のトップたちの見解は2030年には完成しているかもと予測がかなり早まっており、地球規模の大転換が4、5年先には始まりそうなのだ。これだけAI技術が進化しているのに、日本のChatGPTなどの利用比率はまだ9%程度と関心がそもそも低く、AGI時代への対処の遅れがとても心配なのだ。その意味でも、今回の参院選で「チームみらい」の「1%の革命」をなんとか成功させ、来るAGI時代に向けて日本のリーダシップ誘導をお願いしたいものだ。(越)
 
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