■めだかのスイスイあまぞん日記~~ゆったり南米ブラジル暮らし

夏川めだか
(なつかわ・めだか)


仙台市広瀬川にて誕生。その後利根川、井の頭公園の池、ダブリンのギネスビール、多摩の浅川などを転々とし、さらなる新天地を求めて、ついに世界第一の流域を誇るアマゾン川へ流れ着く。



第1回:アマゾンでジャングル暮らし?
第2回:こんなとこに住んでいます。
第3回:ゆるゆるモードにはまる。
第4回:「おんな」を満喫!
ブラジル人女性。


■更新予定日:隔週木曜日

第5回:漢字が流行ってます。

更新日2004/09/09


こんにちは、めだかです。

ベレンの街を歩いていると、漢字がプリントされたTシャツを着ている人をよく見かける。ポルトガル語を使うブラジル人から見ると、アルファベットとまったく異なる漢字は摩訶不思議で、それがかえってカッコよく思われるみたい。でもネイティブスピーカーから見るとなかなか面白いんだな、これが。

『愛』や『誠』、『勇気』や『真実』なんていう文字入りTシャツはまぁ普通、というか、本人もちゃんとその意味がわかっていて着ているのだろう。それから、何よりamizade(友情)を大切にする国だから、『友』という文字もよく見る。

でも前に一度、太い二の腕をモリモリさせているマッチョな雰囲気のおにーさんが、『友だち』と大きくプリントされたTシャツを着ている姿を目にしたときはプッと吹き出しそうになってしまった。だって何だか「友だちたくさんできるといいなぁ」という無邪気な小学生のようなんだもの。

年中夏みたいな気候に嫌気がさしたのか、『冬冬冬冬』と大きく4つ並んでいるシャツもあった(よっぽど暑かったのね)。季節はずれバージョンとしては、ちゃんと縦書きで、『謹賀新年』というのも見かけたことがある。着ている当人は意味わかってないんだろうな、きっと。


ベレンの目抜き通りの売店で。「チヘマメ」っていったい…?

漢字がプリントされているのはTシャツだけではない。この間、バスの窓から見た男の人がかぶっていた帽子にも漢字が一文字印刷されていた。でも、なぜかそれが『太』という字。どういう意図なんだろう。しかもそれをかぶっている人がかなりお腹の出ている「太」った人だったのでハマり過ぎ。誰か教えてあげればいいのに、と他人事ながら思ってしまった(でも知らぬが仏かも…)。

近所に床や壁のタイルの専門店があるのだけど、花柄やいろいろな模様のタイルに混じって、漢字タイルもちゃんとあった。やや大きめのタイルに下手な習字のような文字は『愛 銭 成功』。さらにこの真ん中の『銭』という文字が他より大きくて、どーんと自己主張している。こんなタイルが敷きつめてあるお宅をぜひ拝見してみたい。

そして漢字と言えば、若者の間で流行っているのがタトゥ(刺青)だ。以前、旅行で泊まった宿でのこと。受付の女の子がチェックアウトの時に、「なかなか近くに日本人がいなくって困ってたんだけど、ちょっと漢字を教えてくれない? タトゥにしたいのよ」と声をかけてきた。ちなみに今彫ってあるのはこれなの、とGパンをちょっとずらして『友』という文字を見せてくれた。

「でね、次はmake loveっていう言葉にしたいんだけど、どんな字なの」「え、うーん、それはね…」とちょっと返答につまってしまった。ここはブラジルだからそういうのもアリかぁ、でもあんまり直截的だと日本語がわかる人が見たらギョッとされそうだし…。なんていろいろ考えてしまい、結局「交」の字を抜かした一文字を教えてあげた(考えすぎだったかしら)。

いずれにせよ、自分の国の文字をこんな風に気に入ってくれて、お洒落なものとして扱ってくれるというのは、ちょっとくすぐったいけれど、嬉しいことだ。できれば、正しく美しい文字を使ってほしいとは思うけど(たまにすごーく独創的な文字を見つけることもある)、それはまあ置いといて、これからも楽しい漢字を期待したいと思ってます。

 

 

第6回:買い物もひと苦労?