のらりインタビュー



青い作業服を着てキテレツな楽器でパフォーマンスをするアーティストといえば、世界広しといえど明和電機のみ、といわれるほどそのオリジナル性は高く評価されています。今回の「のらりインタビュー」は、前後編2回にわたって明和電機のインタビューをお送りします。さっそく都内某所にある明和電機のアトリエ兼事務所へお邪魔しました。

土佐信道プロデュースによるアートユニット。93年、兄・正道氏と結成。正道氏は2001年に定年退職、信道氏が社長に就任。ユニット名は彼らの父親が過去に経営していた会社に由来する。青い作業服を着て作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶなど、高度経済成長期の日本の中小企業スタイルが評判を呼ぶ。魚をモチーフにしたナンセンスマシーン「魚器(なき)」シリーズやオリジナル楽器「ツクバ」シリーズ、花をモチーフにした「エーデルワイス」シリーズなどのアート作品を発表。発表の場も展覧会やライブパフォーマンスをはじめCDや本の執筆、おもちゃの販売など多岐に渡る。

ハイテンションな土佐社長の商品説明が見られる明和電機の公式ホームページはこちら!http://www.maywadenki.com/
(以下敬称略)



のらり:建物の入り口にあるホバークラフトを目印に伺ったんですが、あれは明和電機さんの持ち物なんですか?

社長 :あれは町内会のものなんですよ。お祭りの時に、駅前商店街のアーケードの中をあのホバークラフトがダーッと疾走するのがひとつの名物でして……。

のらり:え? そうなんですか。

社長 :いや、冗談なんですが……(笑)。


明和電機の新商品、チャチャ(1280円)
と コロン(1580円)
販売元:株式会社キューブ
電話03-3234-3721
のらり:危うく信じるところでした(笑)。さっそく本題に入りますが、新しいオモチャの話を聞きに来ました。

社長 :2002年の12月に発売された「ノックマンシリーズ」の新商品なんですが、これです(2個のオモチャ登場)。

のらり:これは! シンバルが付いている方が「チャチャ」で、もう一つは何のオモチャですか?

社長 :もう一つは「コロン」という名前なんですが、ゼンマイ式のガラガラのオモチャですね。よく赤ん坊をあやすときに鳴らす例のアレです。

のらり:それぞれゼンマイを巻いて音を出すようになっているんですね。

社長 :巻きすぎてもクラッチが入っているので壊れません! どんどん巻いてください。

のらり:かなりかわいい動きですねえ。胸のハートも動く。どういう人が買っていくんですか? 子供連れのファミリーとか……。

社長 :もっぱら疲れたOLですねえ。こう、パソコンのディスプレイの上とかに置いて「なんだかなぁ……」とため息をつく。

のらり:……ヒトゴトとは思えないですねえ(笑)、泣けてきそうです。 これはもともと「ノックマン」というキャラクターのオモチャが最初にあって、そこからシリーズ化されたものなんですか?

社長 :ノックマン自体は、絵本のキャラクターを商品化したものなんですよ。元々僕は学生時代から打楽器をやっていて、“モノを叩くおもしろさ”を形にしたいと思っていたんです。打楽器のおもしろいところは、叩けば何でも楽器になるところで、創意工夫の楽しさがある訳です。叩くという動作は、モールス信号のようにコミュニケーションの手段にもなり得るもので、“ノックでコミュニケーションする生物っておもしろいかも”という発想から生まれたのがノックマンなんですね。


絵本『ノックマン』
吉本興業刊 1500円)
のらり:なるほど。実はこの絵本、ほのぼの系のかわいらしい話かと思いきや、内容的には違うんですね。

社長 :外面のかわいらしさで人を惹きつけておいて、中身はかなりブラックなものもありますね。明和電機の他の製品にもいえることですが、そこも含めて好きになってもらえたらしめたものというか(笑)、手塚治虫風に表現すると『ユニコ』から『どろろ』まで幅広く取り扱っておりますって感じで……。

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